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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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世界を創った者 4

 世界の創生は神話として語り継がれているものと、教会が手を加えて経典に落とし込んだものがある。

 口伝は少数部族の口から口へ、長老が子供たちに語り聞かせる門外不出。

 経典は、そもそも“終末論で他者を煽って儲けるためである”から、わりとオープンである。


 ただし、前者の語りに部族ごとの特色が入る傾向が強く。

 世界の常識としてから見ると、小首を傾げざる得ないことが多々ある。


 例えば――

 女神の数え方だが。

 普通であれば、“柱”という。

 この世界はひと柱の神によって支えられているので、単一神。

 人々からは“乙女神”と、呼ばれている。


 だが、例外に。

 燕尾服を戦装束だという戦闘部族“ゴルゴーン”らは、我らの神は大地と水を司るものだという。

 全知全能ともされる乙女神には得意、不得意はないとされるけど。

 ほら、こんなとこに矛盾が。



 アグラの住んでた東の最果ての国は、鬼人が国を統率している。

 見た目は人種族と大差なく、法力という特殊な力で肉体を強化して戦いに挑むのだけども。

 この国は少なくとも3、4世紀は戦い明け暮れている。


 いや、だだっ広い大地の上で大小様々な国が勃興しては、隣国に潰される日々。


 古竜のような蜥蜴を騎獣に変えて――

 ここが世界の中心だと思って駆け抜けてた日々が懐かしい。

「アグラは、くにに帰りたい?」

 らしくないマディヤから、気の弱そうな声がかすれて聞こえた。

 少しオドオドしている様子がある。

 仮面ペルソナを被ると、心に一枚鎧を着ることができるという。

 おそらく彼女の変身というのは、気の弱さを隠すようなものだろうか。

「そんな訳がないでしょう! マディヤさまは強いのです!!! その気になれば、ミジンコの命など簡単に消し炭、いえ、藻屑と消えて水槽隅の汚れにしかなりません」

 ひどい言い方だ。

 指先を加え、ますます困り顔のマディヤがある。

 ナシムの言を諫めたいらしいけど。


 勇気が足りないようで。

「巫女なんだろ? お前が主神を困らせてどうすんだよ」

 モジモジしてる彼女に抱き着くナシム。

 渡さないぞ的な威嚇なんだけど。

 それは逆効果だ。




 埒が明かないと思ったアグラから、

「結局のところ、青年や少女、大人の女性的な魅力も放つ... 旦那は一体どんな、いや何者なんだ」

 ナシムは向き直り、

 彼女を背において守りながら...

「神です! 乙女神とは姉妹に当たる、双子神です」

 ほ~ん。

 いあ、なんとなくそんな雰囲気に巻き込まれた。

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