表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
353/512

串刺し侯、ハサン 2

 ルセラ砦の中にシグルドさんと、アイヴァーさんがあった。

 砦の中というよりも、街側にある。

 兵士たちの家族や軍属の者たちが、市民の誘導に努めている。

 地下シェルターとか。

 あるいは教会へ誘っていて。


 誘導に駆り出されていない軍属は、厩舎や倉庫などの屋根にふかれたかやを剥ぎ取っていく。

 これに火矢が当たれば燃料になるからだ。

 それでも燃えることはあるけど。

 消化の妨げになるものは予めとり壊しておけば、少なくとも銃後で取り返しのつかない事には成り難い。

 とは言っても、皆が不安だから壊して回ってるんだけども。



 砦を半包囲する侵略者たち。

 平原での戦いは1日と待たずして、藩主国中に駆け巡って。

 宗主国とその声、権威に集まった烏合の衆の敗北を知らされた。


 国のトップはなんとなく分かってたみたいだ。

 征伐軍だって言った性格の合従軍だったのに、宗主国の精兵は藩主国に集結してた。

 鍔迫り合いで済めばいいかな位の軽いノリだったようだけど。

「予測はしてたけど、的中するとは思ってなかった、と?」

 櫓の下にある望楼に入った城主と、騎士団長がある。

 ともに幕僚の数名と、軍使たち。

「思った以上に相手方も兵が余っていると見える」

 ふふんって鼻が鳴る。

 とは、兵糧の問題だ。



 城攻めともなれば、相応の準備が必要になる。

 平原の中に孤立しているように見えるルセラ砦だけども、よくよく周囲を見渡すと。

 監視塔みたいな施設が点在してた。

 常駐させてある兵力は、恐らく100人前後。

 大軍から見れば取るに足らない戦力にも見えるけど。

 数字で量ることは出来ないのが戦争だ。

 ルセラを中心に両翼へ伸びる、監視塔から兵が集結すれば――。

「砦の半包囲は、これ以上側背を向けることが出来ない()()だろうなあ。この砦が突き出している意図を察してる奴が居るって事だ、なかなか食えないもんだな」

 と、まあ。

 短槍を傍らに立て掛けて、顎の下を拭った。

 皮手袋ごしだってのに無精ひげの、ごつごつ感が指先に伝わってきた。

「こりゃあ、随分と男前に成っちまったもんだ」

 髭だ。

 剃れるうちに剃っておくべきだった。

 戦に負ければ、首級は胴を離れて検分されることになる。

「また、縁起でもない」


「そうは言うけどもな、城主としての身嗜みをと...従僕している者からも」

 頭髪を掻きむしって。

 両眼を覆った。

「いあ、そうだな。考えるべきは其処じゃない...さて。どうやって守るかだが」

 守備側としては籠城。

 備蓄食料は半年は持つし、街の方なら1年ちかく持つ。

 ただの睨み合いでなら心労とプレッシャーを加味して、4,5か月といったところか。

 かつての歴史から教訓とするなら、もっと粘った事例だって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ