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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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サマースティプル平原の戦い 2

 乱れる陣形。

 想定はしていたけど。

 寄せ集めっていう言葉が空しく聞こえてくる。


 単独行動に出た騎兵隊は、黒色の敵騎兵に迫った。

 ――鉄の鏃を弾いた鎧は、剣騎兵のサーベルも跳ね除けた。

 まあ、当然だろう。

 激しい乱戦に持ち込めても、馬上の騎士はヤれない。

 ただ、総重量がある馬本体は、タダでは済まなかった。


 あ、折れた。


 馬の足が、だ。

 勝機は乱戦、双方ともに馬がイカレた。

 馬上から崩れるように投げ出され、馬と共に潰れる兵が出る。

「まあ、なんつうか勝負あったな」

 一部の黒色装甲騎兵は潰された。

 相打ちと言う形でだ。

 こちらの軽騎兵も甚大な被害だ。

()()()()()って、こっちも貴重な騎兵戦力が潰されてるじゃないですか、しかも右翼の歩兵陣地は蹂躙されっぱなし。それを追い回す友軍・騎兵もどういう訳か、味方の歩兵を蹴散らかしている」

 同士討ちだ。

 これも、征伐軍に仲間意識が無いからだろう。

 聖国の呼びかけに参集したが、布陣の差配に不満が無かった物はひとりしてない。

 盟主国の方も“面倒”だと思った。



 相対する公国は、この一戦に国家の存亡以上を賭けてた。

 末代にまで類する罪を濯ぐことにある。

 ――っは、大義名分だけど。


 少しでも豊かな土地に移り住む為に飛び出してきた。

 ってトコだろう。

 そのために賭けた代償は...。

「剣と盾が構えられる男たち、人口の約半分以上。誰かの息子から、誰かのジジイまでの男衆ってんだから、泣けてくる話ですねえ旦那?」

 平原が見渡せる丘陵地に、結社はあった。

 いや、マディア一行がだ。

「賢者の爺さんどもは?」

 和装の剣士は公国の陣地を見渡してる。

 その一翼にて魔法をぶっぱしてる連中を見つけたとこだ。

「本陣の近くですね」

 燕尾服の少女。

 マディア青年にティーを差し出してた。

「ありがとう、ナシム」

 青年は後ろ髪をかき上げ、

 カップから暖かい茶を啜った。

 身体に染みわたる優しい味と香りで、癒された。

「金脈たちの仕事も満更ではなかったね」

 とは、聖国で起きた革命のような出来事だ。

 聖金貨の偽造事件と、法皇の権威強奪なんてとこだけど。

 あたしたちにすべて阻まれた。


 結果的には失敗したことになってる。


 けど。

 そう、けどって続く。

 法皇選挙が起こされたのは事実、暗殺が成功したからで。

 盤石だった前体制が壊されたことによる求心力の低下は、新体制が発足された現時点でも。

 よく分かっていることだ。


 各国のまとまりが悪い。

 外交に長い時間を掛けてた前法皇の努力によるから。

 ちょっと、ムリが出てきたね。

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