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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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そうだ、なんか召喚してみよう!

 邪神へつなぎが飛ぶことはなかった。

 そりゃ、橋頭保である村が燃やされたわけだし。

 悪魔の肉が灼けたところで、

「美味しそうって成らないものね」

 ちょっと異界から“犬”を召喚してみる。

 立ち込める霧から犬が出た。

 いや、これを犬と呼ぶには、あたしたちの世界の魔獣が可哀そうになるレベル。

 だって、さ。

 これネームド・ビーストっぽいよ。


 呼び出された()()は。

 尻に付いた尾を嬉しそうに、それはもう千切れんばかりの勢いでぶんぶん回してる。

 おいおい、そんなに回したら飛べ。

 いや、飛べそうだけど...

 四肢でしっかり地面を噛んでやがった。

「じゃあ、はい。これこの世界の悪魔肉ね」

 与えてみた。

 食ってみた。

 吐き出した。

 そりゃあ、もう弾丸のような黒い何かが飛んでった。


 はい、結論――

「異界の魔獣も食えませんっと。対象者があると、判別に苦労しないわね。セルに食わせたら、私も腹を下すから食材に成らない事だけは理解できたし。そうなると、魔獣は食えるのかしら...ね?」

 やや物騒なこと、考えてた?

 考えてたよね。


「あら、まだ居たの?」

 召喚した“犬”に言う。

 魔王ちゃんが還さなければ、そりゃ残るでしょう。

 ケモノの方は、だ。

 四肢で踏ん張ってるとこ見ると、強制送還はやってたっぽい。

 呼ばれた理由が“食えないエサを与える”だもんなあ。

 未練か、或いは怨みくらいはするか。


 うん。

 あたしでも、そこは怒る。

 でも、それじゃなかった。

 異界の魔獣は従者の末席に加わりたいと懇願した。

 いや、そんな雰囲気だったらしい。

「はてー」

 エルダーク・エルフは意思疎通が出来る。

 魔王ちゃんの肩の辛さを感じて、率先してケアしてくれる。

 ほう、巨乳と斯ように重いのか。

 悪かったな軽くて!!

「では、こうしましょう」

 どうしましょう?!



 魔物たちに占拠されてた街“アルーガ”に入った、あたしたちは事実を知った。

 この街の真実をだ。

 知って、各々が木影、家屋影、物陰で吐き。

 あたしだけがその場で吐いた。

「ばっちっ!!」


「ばっちぃーです、先輩!」


「マジかよ?! ここで吐くヤツが」


「無念」

 ああ、お爺ちゃん。

 かわいい孫の醜態とアホさ加減を再確認してる。

「せめて、ご遺体に掛けないでくださいよ、セルコット氏」

 老騎士からも残念そうな視線が向けられた。

 いや、なんかこう。

 灼けた雑巾みたいな匂いを感じちゃって。


 ああ、それね。

 魔王ちゃんとあたしは感覚共有しているんだけど。

 パスが、ね。


 そんで。

 彼女が異界の魔物に与える前に、だ。

 悪魔肉を嗅いだのが原因。

 決して、目の前の惨状に吐いた訳じゃない。


 ちがうよ、ちがうから。

 もう、何でみんなそんな目で見るかなあ。

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