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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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自由都市・東の都“アルーガ” 5

 素通りされた悪魔たちの焦りは、パスの繋がった青年に押し寄せる。

 数百もある低級な悪魔たちの、たぶん誰か。

 個体名は無いと思うけど...

 その中の個体ひとつの目を通して、

《な、なぜだ?! なぜ、素通りが出来る!!!!》

 って手汗の酷い拳を再度、握り直しながらつぶやいた。

 みるみる遠ざかる聖女一行。


 あ。

 あたしらは聖女一行だよ~って叫びながら、ずんずん歩いてた訳で。

 邪神にも聞こえるように宣って。


 後輩から殴られた。

「先輩は、バカですか!!」

 むむ、酷い。

 ミロムさんに泣きつこうと腕を伸ばして、払われた。

 よよ?!

「なぜ、自分から正体を?」

 こっちはヒルダさんだった。

 ミロムさんは獲物の手入れ中である。



 進軍は、街が夕日に赤く照らされるとこで止めてた。

 野宿ではなく。

「――正体なんて気取らんでも、相手方には()()()バレてるよ」

 魔王ちゃんが、エルダーク・エルフの4名を指さす。

 さされた本人は満面の笑み。

 魔王ちゃんの意図は組まれてるのか?

「えっと、まさか...」

 殴り足りなかったのか。

 後輩があたしの腹の上に馬乗りになって――「角笛ですか?!」

「そう、その通り」

 なんてことをって言葉が方々から漏れた。

 まあとくに、正教会の騎士団からだが。

 以前にも戦えるような存在に全く見えない、騎士たちなので。

 狼狽ぶりがまたすごく酷い感じだ。

「ねえ、後輩よ!」

 馬乗りは継続中で、あたしの腹にじんわりと感じる温かさが、ねえ。

「あの神殿騎士は戦えるのかな」


 戦えるって返答を待ってた。

 が...

「数合わせに決まってるじゃないですか!!」

 ああ、やっぱり。

 百人が千人いても、戦力はゼロに等しい。

 じゃあ、何でそんなのがあるのか。




 スバリ! 見栄である。




 犬も食わねえもんを。

「なら、一時的に悪魔にでも憑依させて」

 騎士団長と、副団長が涙を浮かべて拒絶する。

 憑依されるくらいなら、獅子の心という鼓舞スキルで戦いたい。

 とはいえ、どちらも最終手段では...ある。

「今夜、闇夜に乗じて...街の魔物どもが夜襲を仕掛けてくる。低級の魔物崩れは、髭で体温や獲物の恐怖を嗅ぎ分ける。神殿騎士たちには囮になって貰おうと考えていたのだが」

 魔王ちゃんの策はシンプルだったんだけど。

 当人たちには下策に聞こえたし、恐怖が増して卒倒しそうになった。



 仰向けに後輩と戯れるあたしに、魔王ちゃんの視線が止まってた。

 ま、あたしは仰ぎ見る()()に、あわびを見たのだけど。

「聖女を囮にして、袋にしよう!」

 マジかあ~

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