表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
330/539

自由都市・東の都“アルーガ” 3

 さて解放するにしても。

 あたしは周囲を見渡した――見れば見るほど、貧相に振り切れた兵隊どもです。


 魔王ちゃんと、エルダーク・エルフの4人は未だいい。

 川へ自分の身体を洗濯しに行っていない、ミロムさんとヒルダも...まあ、十分な睡眠と栄養を与えれば。

「こらこら、そこの化け物と一緒にするな! 栄養だけで戦えるか。セルコットと一晩、遊ばせろ!!!」

 ヒルダさんが溜まってらっしゃる。

 もう、あたしは受け身で蒼炎の指技や、後輩の舌技なんて持ってない訳よ。

「持ってないのか?!」


「ないよ」

 ミロムさんがあたしの肩を叩く。

 ぴちゃぴちゃと跳ねる黒い血が気になるけど。

「なあに?」


「マッサージは、得意!」

 はい。

 万能メイド・ミロムさんが名乗りを挙げました。

 いや、そのサービスは、さ。

 あたしだけにして欲しいのよ。


 で、

 ふたりとも、自分たちを洗濯してきなさい!!

「ホーム、リバー!!」

 川へ誘導する。


「さて、気を取り直して。お爺ちゃんからもなんか言ってやって」

 あたしの中の記憶にある爺ちゃんなら、



 崩壊したー!!

 あたしの爺ちゃんを返せー!

「結論から言うと、邪神に当てられた街“アルーガ”の解放は、勇者が奪還出来なかった場合、最後の砦として機能します。いえ、先行している冒険者の避難所としても...有効な施設に成る筈です!!」

 力説してくれたのが、後輩じゃない。

 何でそんな事になったのか。


 今、まさに魔王ちゃんに踏まれてるからだ。


 で、宣ったのは騎士団の副団長。

 お爺ちゃんも、正教会の全面支援という形でフォローしてた。

 師匠は政治だと言って、参加しなかったけど。

 概ね、了承しているようで。

「じゃ、じゃあさ。こんなマンパワーで城塞都市をどう攻略するの?!」


「ま、時間は惜しいな。怯えた魔獣どもはもう戦力に成らんだろうから、邪神というのが知恵ある者だと仮定して...(魔王ちゃんの踏み抜く力が増す)次の行動は狡猾になる。最悪、計略をもってこちらを翻弄するだろう!!」

 野宿を惜しんで特攻するか。

 或いは時間を放棄して、策略があると分かって臨むか。

「いあ、もうひとつあるだろ」

 すっぴんになったヒルダさん、鎧も脱いで肌着姿の状態――生渇きの身体は、若干、色々透けてみえるもので。あれは苺の蕾か、ピンク色...それはひじきの...。

「っ、ヒルダ、サービスし過ぎ」

 ミロムさんはいつものメイド服だが、少し堅苦しくない雰囲気。

「もう一つの策は敢えて、城攻めをしない方法」

 もちろん。

 リスクは高い――迂回する、用心を重ねて“アルーガ”を避けて移動して。背後にその都市を置くのだから、追撃される可能性が残る。いや、間違いなく追撃されるはずだ!


「うん、城から兵が飛び出してくるだろうね」


「なるほど! それは釣だな!!!」

 師匠が柏手を打って呼応した。

 腰を捻って、釣竿を引くジェスチャーまでしてくれたけど。

「ノリが悪い」

 って殴られた。

 理不尽だー!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ