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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
329/510

自由都市・東の都“アルーガ” 2

「魔王ちゃん、ひどい!!」

 虚空に向かって指さす、あたし。

 差されたほうに皆の視線が動くんだけど、あ~やっぱり何もない。

 いあ、あたしには見えてるんだよ。


 なんでかスリットの深いロングスカートを履いてる、魔王ちゃんが其処に。

 膝が赤くなってるのが証拠で、彼女は実在するし。

 勘違いではなく。

 えっと......あわびが見える、ひじきの森の......、その奥に。



 土煙が立ち上がる向こう側に、都市があることが確認された。

 どうやって?

 神殿騎士らが鎧を脱いで。

 百人が総出で、思考して作ったのが人間ピラミッド。

 その上から見たってのが...

「アルーガだ」

 お爺ちゃん逃げてきた道を、逆に進行する道として利用している。

 だから中継地として“アルーガ”の踏破も必然的に踏むことになるわけで。

 邪神の勢力圏にあるのならば。

「解放しなくては!!!」

 後輩の、いや、調査旅団の負うべきことじゃない。

 なぜか。

 それはあたしたちが教会の意向で動いてるからだという。

「そんな戦力じゃないことくらい」


「もちろん分かってます。冒険者ギルドは目的のためならば、都市のひとつやふたつ...平気で見捨てるでしょう。十分な兵力があっても、都市の解放はしないものです」

 そこに利益がない。

 生産性のないことはしない。

 都市から来た魔物たち。

 人らしき皮とトロフィーは、おそらくは住人のだろうと予想がつく。

 もう、あの都市には。

「それでも解放します。当方は神に仕える聖なる側の使徒ですから」

 門の都で詐欺まがいな、金の亡者だった後輩とのギャップがある。

 さすがに其れで萌えを生じるほど純真無垢ってことはない。

 耳元で魔王ちゃんが、さ。

後輩あれがいつになくカッコを付けておるようだが? 何に酔っておるのだ》

 さあ。

 最前線の暴れっぷりは、やはり神代の決戦兵器に軍配があがりそう。

 押し寄せるビックなウェーブも、力任せに握りつぶしているようで、一部の魔獣使いは散り散りに逃げて行った。

 知性が低い獣は、本能で戦慄してくれて。

 エルダーク・エルフの前で、仰向けになり腹を見せて『にゃー』と鳴いた。


 おっと、元の動物が判明したようだ。


 最前線の戦士たちがこっちに戻ってくる。

 頭から大量の血を浴びてドス黒くなった、6人。

「ちょ、こっち来んな!!!! あっちに川あんだろ、洗ってこいや」

 思わず可視化した魔王ちゃんがある。

 えっと、あたしとパスが...

「や、わりぃ。実は不可視化の魔法で知覚出来ないようにしてただけで、パスの云々は関係ないんだわ」

 あわびが丸見えなドレスは、幻覚じゃない。

 姿を現した瞬間、後輩が魔王ちゃんの下で踏まれてる。

 しかも顔が地面にめり込んでる状態で、だ。


 あんなにかっこよく、あたしの腕から離れたというのに。

 湿っぽい汁、いや、考えたくもないが。

 バツが悪くなって離れたのか。

「「「「セルコットがふたりぃ?!」」」」

 いい反応だよ。

 それこそ、リアクショ...

「どうも、羞恥心皆無の“魔王”ちゃんです」

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