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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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聖女の行軍 2

 耳敏い悪魔たちは、角笛に耳を傾けた。

 鋭く尖った耳はエルフのようだけど、似て非なるモノ。

 あたしらは、御伽噺で言えば“妖精”の仲間であるという。


 いや、物凄く単純にソレと分類した場合、妖精にちかいってだけで。

 今は原種とかけ離れてるって話だよ。

 真に受けちゃだめだ。



 守護の森結界の外にあるのは――魔王。

 火焔のっていう、あたしの半身で。

 子供のころにドラゴンの幼生体を召喚してた、危なっかしい娘だ。

《エルダーク・エルフの角笛で、邪神の気もこちらに引けたようだな》

 作戦を知らなければ「何してくれちゃってんの!!!」って怒っていいレベル。

 ヘイトを集めたのだから。


 パーティーで言えば前衛がソレをする。

 中衛や後衛は、死角外からエネミーを攻撃するわけだから、クリティカルが入り難いわけがない。

 たまに勘のいいモンスターも居ない訳じゃないから。

 ヘイトの管理は前衛の大事な仕事だ。


 で。


 作戦なんだけど。

 門の都を発つ前に、あたしと()()は策を講じた。

 いや、立案と実行は彼女がする。


 あたしは...邪魔らしい。


 おおい。

 作戦であると知っているだけでいいというのだ。

《セルコットが最大戦力で切り札なのに、前衛に出てきてヘイト集めちゃ意味がない》

 だ、そうな。

 エルダーク・エルフが4人なのも意味がある。

 あ、いや。

 たくさんいると、交通事故みたいな滅茶苦茶感があるから。

 とりあえず、時代にも分相応というのがあって――これは受け売りなんだけども、従者召喚による手勢と言うのは、神代から隔離された世界からそのレベルのままを、呼んでくるというものらしい。

 魔王がそう言ってたんで、たぶん間違いない。

 さて、そうすると。


 エルダーク・エルフひとり分で、数百、いや千単位の兵士に匹敵する可能性がある。

 魔界から来たという、シグルドさんも俄かには信じて貰えなかったし。

 お見合いさせたら、引かれてしまった。

「これは、角笛ですか?」

 眠たげな表情の後輩がある。

 ()()()とは寝床が別だった筈だが。

 いつの間にか潜り込んでやがった。

 しかも、ミロムさんとの間に、だ。

「...聞こえる?」


「微かに、です。天使たちの来迎でもないですよね?」

 乙女神はいるけど、天使...天使はいないと思うけど。

 あれか?

 御使いっていう、こう鼻面が長くて牛だか、馬っぽい連中かな。

 神々の集う催しの中の女神たちにも、蛇っぽいのとか猿も象もいたような気がするし。

 あの御使いをと言うのであれば...


 ああ、いるか。

「違うと思うよ、眠たければ寝てなさい」

 あたしは退散させてもらうけど。

 あと数刻で、進軍が再開される。

 外の魔王が邪神に群がってた、悪魔たちの気を惹きつけた頃合いだ。

 邪気を得れば、悪魔たちも一段上にレベルアップするといいう。

 でも、それは魔王に対する反逆行為でもある。


 とはいえ、それが悪魔ほんしょうともいえる。

《さあ、散れ! 小物どもが!!!》

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