表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
321/510

聖女の行軍 1

 あたしの一歩は、わりと軽かった。

 こう仰々しく、いやうやうやしく?

 どれもしっくりこないけど、正教会の連中は儀式? いや、式典みたいのを開いて――

 調査旅団だってことを忘れたかのような、豪奢ぶりだ。


 冒険者の調査団とは別行動にもなった。

「一緒に行動すればいいのに?」

 最初の1日目の夜は野宿に成る。

 大層な送り出しの式典を開いて、門の都から出たのは昼過ぎだ。

 ミロムさんは、旅の支度に十分な時間が貰えたって喜んではいたけど。

 師匠とヒルダは士気が挫かれたと怒ってた。

 結果、昼間から酒を飲んで――今も使い物に成らない。


 襲われたら...

「大丈夫、セルは私が守る」

 ミロムさんが男前すぎる。

 後輩があたしにしがみつき、

「当方は守られたい気分です」


「あ、お前も戦えよ」

 流石に襲われたら、あたしも戦うんだけどさ。



 門の都から見えた景色は、同じ島大陸かと思わせるほどの荒野が拡がってた。

 草木の気配のない不毛なる大地。

 エルフとしての直感は“行きたくないなあ”だ。

 幸いにもお爺ちゃんは生粋のエルフ、混じりけなしの天然エルフ。

「天然って、儂は...いや、いい。“守護の森”は張り終えた、魔獣でさえ我らを感知できんじゃろ」

 “守護の森”は、幻影魔法のひとつ。

 エルフ族のまあ、固有スキルの一つだろう。

 あたしが使えたらいいんだけど。


 色んなのが干渉しあって、使えるバフやデバフが僅かしかない、ポンコツぶり。

 これで聖女だっていうんだから。

「大丈夫、セルにサポーターは求めてない」

 ミロムさん...。

 それは、どういうこと?!

「だって先輩って、他人の静止聞かずに飛び込んじゃうじゃ、ないですかあ!!」

 こらこら、後輩。

 あたしは暴走機関車じゃないよ。

「大して変わらんだろ? 誘蛾灯に飛び込む癖もある」

 えー。

 あったかなあ。

 師匠まで...いや、いつ復活した?!!

「ヒルダの気付けめいた屁で覚醒した。アレは実が出た雰囲気の屁を捻ってたから、そのうち泣きながら覚醒するだろう。ケアをよろしく...」

 と、残して兵舎側へ消える。

 呑みに行ったと考えるのがよさそうだ。

「ヒルダが、泣く?!」

 その時は、信じられないと。

 嗤ったものだけど。

 確かに彼女は、泣きながら覚醒した。

 野宿はもう一泊することになる。





 あたしの下から、従者――エルダーク・エルフが4人が散っている。

 各々が角笛を天に向けて吹き鳴らす。

 人に聞こえる音色ではなく、魔に呑まれた者たちが耳にする音色。

 どこに居ても聞こえるんだという。

《さあ、悪魔ども...魔王ロードの帰還である》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ