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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
32/572

旅は道連れ、 5

 青年御一行は、王都の鼻先まで進む。

 烏便が宿場町に来て、

「烏便か、珍しい」

 和装の男は前髪をすきあげた。

「団主の指示で、教区長の始末が済んだという話だ。が、どうも団主がそうするよう命じるとは...ボクには思えない」


「と、なると...狂信者らの独断専行ってとこか。っ...あれらは、教義おこないに妄信的過ぎるきらいがある。至極単純なことでしか見えない狭窄な視野と、全体どう回っているかをまったく見ようとしない。何れはぼんの下に、協会連中が辿り着く...訳だが、そうだとしてもやはり時期というものがある...だろ?」

 和装の男の言葉に青年は微笑むだけ。

 実際に口角が上がっただけで、笑ったかは対面でも分かりづらい。

 ()()見えるようにした、だけかも。


 だが、布石は打っておいた。

 屋敷は燃え落ち、青年は死んだことになっている。

 しかも屋敷にあった、美術品は地下競売にかけられ、首班と目される盗賊一党が捕縛されるまでの絵図まで描いてきた。ダメ押しも無くはなかったけども、遣れば遣るだけ語るに落ちるとも。

 守備隊には、違和感はあっても状況証拠では“黒”の盗賊たちを放逐できない。

 覆しようのない事実だけが並べられる寸法。


 だから教区長が教会の尋問官の前でどう鳴こうとも、秘密結社アメジストに辿り着くことは無い。

「...筈だが、な」


「また難しい話を!」

 燕尾服の少女が、買い物から帰ってきた。

 街の名物だという串団子を咥えて、だ。

「旦那さまの眉間に皴を増やさないでください!!」

 和装の男へ、食べ終わった串を投げる。

 彼も、胸に投げつけられた串を払い除け――

「よさんか、これはひっつくではないか!!」



 蒼炎の魔女一行が東の海沿いから再度、アプローチする中。

 あたしたちの旅は、それはもう優雅な...旅立った。

「も、もうムリ...ちょ、ちょっと休憩で」

 あたしは、数えるのも面倒になるくらい目の途中下車で道端に転がり込むと、キラキラを吐いてた。

 あたしだって思うよ。

 朝食のアレは、最初の馬車酔いで吐き出したと思うから、その後のキラキラが何を吐いてるか。

 うん、意味不明。

 もしかすっと、内蔵の一部が。

「怖い事、言わないでください」


「だって、何喰ったら...こんなに出ると思う?」

 あたしに数十枚目の布がトッド君の手から渡される。

 あ、ありがとう友よ。

 って、こっち見ても居ねえし。

「それは、ついさっき空腹だからと喰った()()()()()()だと思うんだけど?」

 ああ。

 薄味でクソ硬いビスケットみたいなやつな。

 あたし、あれは子供の頃から嫌いだった。

 御蔭で犬歯がひとつ、欠けてるんだわ。

「それは歯を磨かないから」


「うっさいなあ、お前は、あたしの母さんかっての!!!」

 邪険にするも後輩は、

「ほら、お腹からぐっと、吐き出し切ってくださいね」

 って...彼女は、あたしの胸を揉みしだく。

 弱ってるってのもあるけど。

 なんか牛になった気分。


 ちょ、余計にロケットになる!

「ガード強い!!」

 トッド君が近寄ってきて、

「じゃ、ボクも揉み...」

 しだかせるかー!!

 うーって唸るのも後輩なんだけど。

 まさかトッド君も当てられるようになるとは...

 あたしの罪作り。

「肩を揉みますから、もうちょっと気を静めてください。王都で行われる大会は開催期間は長く、そのメインも後半ですから...このペースでなら、多分、大会のオープニングを見逃した程度のはずです」

 っての気遣い。

 これが大人対応!

「いや、姐さんに興味ないんだと思いますよ! これは潮対応!!」

 そっちの()じゃねえだろ、流石によ。

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