旅は道連れ、 5
青年御一行は、王都の鼻先まで進む。
烏便が宿場町に来て、
「烏便か、珍しい」
和装の男は前髪をすきあげた。
「団主の指示で、教区長の始末が済んだという話だ。が、どうも団主がそうするよう命じるとは...ボクには思えない」
「と、なると...狂信者らの独断専行ってとこか。っ...あれらは、教義に妄信的過ぎるきらいがある。至極単純なことでしか見えない狭窄な視野と、全体どう回っているかをまったく見ようとしない。何れは坊の下に、協会連中が辿り着く...訳だが、そうだとしてもやはり時期というものがある...だろ?」
和装の男の言葉に青年は微笑むだけ。
実際に口角が上がっただけで、笑ったかは対面でも分かりづらい。
そう見えるようにした、だけかも。
だが、布石は打っておいた。
屋敷は燃え落ち、青年は死んだことになっている。
しかも屋敷にあった、美術品は地下競売にかけられ、首班と目される盗賊一党が捕縛されるまでの絵図まで描いてきた。ダメ押しも無くはなかったけども、遣れば遣るだけ語るに落ちるとも。
守備隊には、違和感はあっても状況証拠では“黒”の盗賊たちを放逐できない。
覆しようのない事実だけが並べられる寸法。
だから教区長が教会の尋問官の前でどう鳴こうとも、秘密結社アメジストに辿り着くことは無い。
「...筈だが、な」
「また難しい話を!」
燕尾服の少女が、買い物から帰ってきた。
街の名物だという串団子を咥えて、だ。
「旦那さまの眉間に皴を増やさないでください!!」
和装の男へ、食べ終わった串を投げる。
彼も、胸に投げつけられた串を払い除け――
「よさんか、これはひっつくではないか!!」
◆
蒼炎の魔女一行が東の海沿いから再度、アプローチする中。
あたしたちの旅は、それはもう優雅な...旅立った。
「も、もうムリ...ちょ、ちょっと休憩で」
あたしは、数えるのも面倒になるくらい目の途中下車で道端に転がり込むと、キラキラを吐いてた。
あたしだって思うよ。
朝食のアレは、最初の馬車酔いで吐き出したと思うから、その後のキラキラが何を吐いてるか。
うん、意味不明。
もしかすっと、内蔵の一部が。
「怖い事、言わないでください」
「だって、何喰ったら...こんなに出ると思う?」
あたしに数十枚目の布がトッド君の手から渡される。
あ、ありがとう友よ。
って、こっち見ても居ねえし。
「それは、ついさっき空腹だからと喰ったエルフのパンだと思うんだけど?」
ああ。
薄味でクソ硬いビスケットみたいなやつな。
あたし、あれは子供の頃から嫌いだった。
御蔭で犬歯がひとつ、欠けてるんだわ。
「それは歯を磨かないから」
「うっさいなあ、お前は、あたしの母さんかっての!!!」
邪険にするも後輩は、
「ほら、お腹からぐっと、吐き出し切ってくださいね」
って...彼女は、あたしの胸を揉みしだく。
弱ってるってのもあるけど。
なんか牛になった気分。
ちょ、余計にロケットになる!
「ガード強い!!」
トッド君が近寄ってきて、
「じゃ、ボクも揉み...」
しだかせるかー!!
うーって唸るのも後輩なんだけど。
まさかトッド君も当てられるようになるとは...
あたしの罪作り。
「肩を揉みますから、もうちょっと気を静めてください。王都で行われる大会は開催期間は長く、そのメインも後半ですから...このペースでなら、多分、大会のオープニングを見逃した程度のはずです」
っての気遣い。
これが大人対応!
「いや、姐さんに興味ないんだと思いますよ! これは潮対応!!」
そっちの潮じゃねえだろ、流石によ。




