台風が来るかも、ね 1
台風が発生するかも、8月21日現在――執筆中。
この72時間前に気象庁のHPには、太平洋予測図ってのがあって。
雲の動きなどを見ることが出来る。
で、なんとなく。
台風になりそうな雰囲気の『卵』を発見してた、円ねこさん。
実はそんなに驚いてなかった。
ただ、位置が悪い、向かう先がよくない。
眉間に深い皺が出来ましたとも。
見えないんで。
ま、月曜は有給を取っているので注視していこうかと思ってますが。
これから、9月は多いんですよねえ~
冒険者ギルドが寄こした、調査団の動向には正教会も注視してた。
例えば、宿泊施設――ラグナル聖国に根回しをして、ごく一般的な待遇に済ませてもらっていた。
過度に目立てば、カドが立つし。
シルバーチョーカーとはいえ、王宮に出入りするような身分でもない。
粗野な傭兵よりかは、幾らか礼節があるような。
そんな雰囲気の人たちだ。
だから、正教会が他人様のご厚意の上で胡坐をかいて、自慢げなのは意味が違う気がする。
「冒険者ギルドの方が余程、好感が持てるんだけど?」
あたしの本音。
だって、冒険者は質素だし。
奇跡は安く売り叩くものじゃないっていう正教会よりも、なんというか。
胡散臭くない。
「くぅー、先輩に政治は早すぎましたかね」
失礼な。
早くもなく、遅くもない。
ぜんぜん、分からないよ。
「前にも言いましたが、冒険者ギルドは“神秘の強奪”を目論んでいる組織です。正教会は、これで多くの遺跡調査から追い出されていますからね!! こっちも死活問題なんです」
乙女神の屈み像から水が漏れたのを見て声高に『これは聖水である!!!』とか虚言を吐いてるだけなのに?
後輩の咳払い。
近くには、ヒルダが転がってる。
自分とこの部屋の床で寝て欲しいんだが。
「それはまた別の話です。正教会の商いにクレームは要れないでください...信者のみなさんからは、わりと好評なんですから。男の子の夢を奪わないで下さいね」
門の都から西へ向かう地。
お爺ちゃんが命からがら生き延びたという荒野の果て。
自由都市は、世界から隔絶された場となっている。
自由都市との交流が途絶えて、たぶん。
ひと月以上は、経過している筈だ。
その調査の為のギルドから来た、別の一段と言う位置づけ。
「神秘ねえ」
「その様子だと、どうでもいいと!?」
思ってる。
別に欲しけりゃいいじゃん、分ければ。
「甘い、実に甘い!!」