魔法学校に魔王がいた 7
学舎の消滅は免れたけど、再々試験は無くなった。
才女さまの根回しがあったっぽい。
多分だが、大人げない事をしでかしたのだろう。
これは推測だ――。
教授連中の前で、
「赤点組の再々試験での合格ラインを下げなさい。いえいっそ“0点”でも、合格とするのです!!」
とか宣った可能性、あるな。
最悪なのは、教授たちいや、学校を敵に回したことだ。
なんでそんなのが入学してるんだって話だが。
親の側面からすれば、
物騒な力を持った常識外れの災害娘。
これの手綱が握れるような、友達を見つけてくれたら超ラッキーくらいなことか?
今んとこ、魔法科学実験棟が吹き飛んでるくらいの被害しかない。
死傷者はゼロ。
爆発規模からしたら、ラッキー以外にない。
あたしは、その現場に居た関係者で。
人生最大の屈辱を受けた――前と後ろで漏らしたんだわ。
御蔭で、下級生から“うんこ”言われるようになった。
先輩のプライドはズタズタです。
◇
あたしは巻き込まれて、怪我をしただけ。
状態異常の無効化ってのは、万能そうに見えて得手不得手な部分がはっきりしている。
災害娘に巻き込まれてしかと発見したことだけど、死の危険がない軽い症例のものであれば神々の加護により、あらゆる事象から“起きなかった”未来線に乗って進むことが出来る。
そうなると、真逆の世界線が問題に。
超強力な幸運値の御蔭で引かなかった世界は剪定事象として勝手に消滅はしているんだけど。
ひずみは生じる。
それが、ファンブル。
神の賽が時々吐くエラーなわけで――超ラッキーの裏返し、超アンラッキー。
死の危険。
あの子に関わると碌なことは無い。
“漏らした”原因と、全治2週間の怪我はそういう副作用。
死ぬかもしれないエラー回避のために、時々、怪我をするというのは“乙女神の差配”だったのだ。
ああ、あの人。
実のところ、あたしが生まれた時から関わってたっぽい。
なーんだ、神さまらしいじゃん。
って知ったのは、つい最近で。
自らの行為を褒めるがよい的な自慢をされた、で、お返しは囀りシャットダウン中。
で、我が道を行く才女さまは。
「どうだ? これで皆と、いあ、セルコットと小旅行に行けるだろ!!!」
憎めそうにないとびっきりの笑みで、左右に揺れているのだ。
悪気の無さが、悪魔に見えて仕方ない。
「断る理由もなくなりましたね」
後輩たちにも話をつけておくか。
まあ...
あのふたりが断る世界線は、無い気がする。
むしろ積極的に食いつき、
『海ですか?! いあ、ここは自然を満喫するために...山、い、河?!! まってください先輩がもっと開放的に、それこそスッパで蒙古斑を我々に見せてくれる場として......そ、それ! それは湖、森ですね、森ぃ~!!!!』
なんて大興奮したのち、出血する。
ああ、今見えた。
あのふたりの看病するの、あたしじゃないか。
「心配するな、セルコット。私もお前の献身を世話するぞ!!!」
才女がなんか言ってる。