表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
304/539

魔法学校に魔王がいた 6

 あたしたちの旅団は聖国の西、サンダーラという中継都市に入った。

 聖都を迂回して4日目のことだから。

 まあ、わりと早く着いた気がする。

 このあたりは、うん。

 後輩の差配の腕がいいって話だな。


 サンダーラってのは、国境の都市部と聖都を繋ぐ交易と、防衛の要所でもある。

 3代前の教皇さまが建設した都市だけあって、まだ、どことなく新しさを感じるね。

 都市内部にいる人々は、

「そうでもないさ、もう10年も棲んじまえば...ここいら何もなかった農民らと、大差ない顔になるだろうよ」って、道具屋のおっさんが言ってた。

 そのおっさんも、聖都から引っ越してきた新参っては言ってたけど。

 年季の入った店構えだったような気もする。


 そうやって、ひととおり都市を巡った。

 馬車の中や、トイレのお隣さんと――

 あたしの周りには常に互いを監視し合う、ミロムさんと後輩がいて。

 気の休まることは無かったんだけども。

 ひとつ、そうひとつ。

 こんな旅が前にもあったなって思い出したとこ。


◆◇◇◆


 どういう訳か。

 バルコニーの一件以来だな、うん。

 あれから、才女さんのイメージが凄く砕けていく感じが。

 あたしのことは“セルコット”と呼ぶようになった。

 決まって、ひとりでいる時にだけだが。


 前戯もなくいきなり、指が入ってきた違和感イメージ

 別に苦手な訳じゃないけど。

 ゲテモノ好きって訳でもなかった。

 だって、あたしは才女かのじょの名を未だ、知らないんだ。

 なんか絡まれるなあって感じで。



 おお。

 そういえば、取り巻きの子らは確かにバカだから。

 あたしよりも成績下だし。

 カンニングして怒られてる上流階級さま。

 卒業は家の力で...

 そうなると、規格外な黒衣の()()はなぜ。

 あたしと同学年のままなのだろう?


 気にしなかったけど。

 今にして思うと?

「セルコットのいない教室は寂しいのだぞ」

 って一服してた、あたしの背に悪寒。

 振り向くと、アレがいた。

「な、なんで」


「連れないな。名など私と、セルコットの前には不要!」

 言い切った。

 マジか、自分を語らず。

 されど重い愛を殆ど他人に課すというスタイルか。

 こりゃ、ヤバいのに目を付けられた。

「なあ、セルコット」


「はい」


「紅と、蒼炎。可愛いよな」

 はぃ?!

 後輩らもロックオン対象者。

「いあ、そうじゃないそうじゃない。伽の相手とか、そうじゃないぞ!!」

 顔真っ赤にして否定してるけど。

 魔女にしては、なんかズレてる人だなあ。

「そうだ!!」

 唐突にスイッチが入った、感じ。

 才女さま、柏手をひと拍打ったら、ぱっと顔を輝かせた。

 とはいっても。

 本人が「ぱぁっ」とか声に出したんで。

 ああ、明るくなったのかなと。

 仮面付けてんだ、表情なんて読めるか。

「だから、声に出しておるだろ! 私の心の友よ!!」

 重い、ヘヴィ~。


「で、そうだの続きは?」


「皆で、旅行ピクニックに行こう!!」

 無理だ。

 期末テストが迫ってる。

 赤点組の再々試験で、これを逃すと最悪、卒業できなくなる。

「むー、それは困ったな。セルコットの赤点を帳消しにすべく、学舎のひとつを消し炭に」

 やめてくれー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ