表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
300/515

魔法学校に魔王がいた 2

 なんで回想に入ってるかって言うと。

 後輩の差配によって爺ちゃんを黙らせた、正教会一行はだ。

 自由都市への調査団を派遣することになった。


 いあ。

 これは大義名分の話で。

 要するに、乙女神さまからの依頼遂行のため。

 セルコット・シェシーを送り届ける旅団が、組まれることになったわけ。


 で。


 その旅すがらに。

 話の一つも無いかなあと、あたしの昔語りでもしようかと。

 わりと...

 面白いかなあって。


◇◆◇


 魔法使いが杖を使うのが当たり前に思われているのは、魔力の媒介が木の棒に近いものだったから。

 キャンディスでも、実のところ――講師の大半がバラエティ豊かな獲物を使ってた。

 校長なんかは、マスケット銃。

 魔界で生産されたという()()()()()という話で。

 銃身に刻まれた魔紋をなぞるだけで、射撃できるという。


 あと副校長。

 あの人の獲物は弓だったなあ。

 普段、生徒に向けて使う時は、矢の先に吸盤が付いてた。

 うん、あたしも良く射抜かれてたなあ。


 あたしの師匠はオーソドックスな木の棒。

 あれは...こん棒みたいなもんだったよ。

 酔った勢いで、酒場の暴れん坊と喧嘩してたし。


 意地悪な主任講師は。

 杖剣っていう刃付きの杖。

 ブロードソードのような形状で、魔法剣士御用達。

 あたしの場合は、ショートソードそのものだけど。

「セルコット・シェシー! 君は、将来の目標は何です?!!」

 名指しだ。

 何かとあれば目の敵にされてるような気がする。

「お爺ちゃんみたいな、剣士に」

 大爆笑が講堂を包む。

 分かってた。

 でも、夢なんだからいいじゃないか。

「ふむ...ソレは不十分。諦めるという選択肢も用意すべきでしょう」

 例の杖剣が、部屋の隅を刺す。

 階段状に連なる先。

 仮面で顔を覆う例の令嬢があった。

 相変わらず黒っぽいローブめいたドレスに身を包んでた。


 くそー、いつもスましてて、艶があってエロい娘だなあ。

 まあ、そう考えてた時期もありました。

 取り巻きから、

「厭らしい視線を“姫”に向ける出ないよ!!」

 とか、怒られた記憶がある。



「君の成績ならば、どこでも目指せるが」

 キャンディスを震撼させた魔法使いとは彼女だ。

 あたしと入学した時期が被り、謎めいた令嬢のひとり。

 使い魔召喚では、ドラゴンを使役したという才女。

 到底、敵いませんって。

「興味がありません...が、どうしてもと言うのならば――世界を欲しましょうか」

 は?!

 今、なんつった???!!!!

 主任講師も瞬きが多くなってる。

 聞き間違ったかと思ったようだ。

「はは~」

 乾きすぎだろ。

「冗談は、」


「冗句と言えば、まあ。本気と言えば、それなりに」

 これが、姫のご乱心で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ