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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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旅は道連れ、 3

「旅支度をするとして、行き先は?」

 トッド君が馬車を用意してきた。

 長距離移動用だから居住スペースもある、わりと豪奢なやつ。

 乗合でもいいんだけど、プライベートな会話がし辛い。

 というか、トイレ休憩とか昼食とか、そういう細々な事が自分てまえ勝手に出来ないから、実のところ不自由さは半端ない。いや、乗合馬車を利用している人たちだって、プライベートなことは多々あって、その煩わしさのいくつかに目を瞑って付き合わされているんだ。

 だからもの凄い、贅沢なことをあたしたちは()()()って話。


 乗合馬車の利点は、乗車賃だ。

 馬車ひとつをオーダーするのは、庶民の懐事情からしてナンセンス。

 全くあり得ないとは言い難い。

 それでも、チャーターするって意味でいえば、そうだねあり得ない。


 その理由として、とにかく――馬!

 こいつはエサを喰う。

 生き物だから当然だ、糞もするし、眠りもする。

 とにかく燃費がいいとは到底、言えない。

 で、その餌代は?

 当然、馭者の日当より高い。

 なぜか...

 身体が大きいから、喰う量も半端ではない。


 馬車の運用費ってのは、距離と日数で計算される。

 荷台の大きさも考慮されることもある――20人以上の人が乗れる大きな荷台なら、馬が二頭になることがある。馭者はひとりで馬だけで3~4倍ちかい費用に。


 ああ、バカらしい。

 そのバカらしい運用費ってのを乗合馬車は、乗車数でリスク分散する。

 他にも、交易商人たちの荷物を運搬する駄賃で分散する場合もあるが、やっぱりバカらしい。

「ええ、バカらしいですが、魔法で飛べばって思ってる姐さまも、()だけでなく上もだいぶ緩いようですね。魔法使いのエルフだってバレたから、冒険者ギルドで飼い慣れさられた...そんな事も忘れちゃったみたいですね、そのオツムは?!」

 後輩、その暴言は赦さんよ。

 あたしを馬鹿にしていいのは、あたしだけ。


 って啖呵切って見せたけど、空ぶった。

「ぷー、クスクス」

 後輩に笑われ、

「何を言うかと思えば、当方らも馬に例えるなら燃費が決していい方ではないのですよ!」

 と。

 まっすぐ、あたしのTKBを指す後輩。

 まあ、たしかに()()はあたしのだけど、あたしじゃないよ!

「魔力量は駄々洩れてる訳じゃ無く、また自然回復もしません! メシ喰って」

 喰ってとかいうな、女の子が!

「糞捻って!」

 糞とか言うなって、トッド君青ざめてるじゃないか!

 お前を前にしてる、あたしが恥ずかしいわ。

「寝て、朝メシ喰ってこう、身体を巡るエネルギーが消費したオドを回復してくれるんです。まあ、エナジー・マジックドレイン・ポーションみたいなのって麻薬みたいなのがありますが...」

 エナジードリンク作ってくれた教会の錬金術師に謝れ、後輩!!!

「あんなの服用しすぎたら、間違いなく廃人になりますよ。なんせカフェイン中毒になった治癒士が多数、教会の病院に収容されてますからね。若いうちから日に数本も飲んで、ダンジョン漁りなんかしてるから、腎臓とかやられちゃって」

 生々しいな、それ。

 じ、腎臓、遣られるの?

「姐さまは...おしっこの色、カラメル色に変わりそうですね!!」

 ええ?

 ま、マジ...


「セルコットさんの食いつきには驚きですが、キャンピング仕様で問題ないですか?」

 長距離移動用の馬車にはいくつか種類がある。

 路面状況は悪いから、贅沢に車輪にはスプリング機構が組み込まれたものがある。

 ま、この場合はオフロード仕様とでもいうか。

 これは、トッド君からの受け売り。

 野宿する際に必要な資材が積めるよう設計されたものもあるという。

 貴族御一行さんらは、これらを使う。

 何せ馬車の外観に、燃えにくい不燃塗料が沁み込ませてたりして、硬いオーク材が使われたのもあったという。

 金を掛ければ、依頼主の用途に合わせどんなものだって用意できるわけだ。

 金持ちって恐ろしい。

「あ、うん。いまいち、キャンピング仕様ってのが分からないけど...パジャマに着替えられる場所の確保が出来るんなら、あたしは別になんでもいいよ」

 って返答――ふたりの動きがぴたりと止まった。

 で、「え?」って聞き返してきた。

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