後輩とおじいちゃん、再び 3
薬のキレが遅くて、マジの仮睡眠してた自分の神経の太さに驚きだ。
普段なら余裕で当方と。
自分を表現するところだけど、焦り過ぎて鼓動が早い。
たぶん、ちゃんと言えたであろう遅延型スペル。
あれも微妙にスッと出なかったように思う。
学校でも、職場でも秀才と呼ばれることが多いけど。
いいや。
当方は、そんな大層な人物じゃない。
むしろちゃんと評価しろといいたい。
恐らく、稀代の魔法使いにして...
本人が自覚すれば、覇者にでもなるであろう、その人を。
◇
未だ困惑してるお爺ちゃん。
頭を抱え、虚ろな瞳で窓を見る。
そこに投影されるは、全裸の若い男の姿だ。
風貌だけは幻術も駆使して、セルコットのお爺ちゃんらしく見せているけど。
数千年生きてるハイエルフの長老である。
実際に、どこまで年齢を重ねたらマジ老けになるか。
あたしらでも分からないんだけど。
爺ちゃんの頭から下の身体は、三十路前の筋骨隆々、細マッチョで理想的なボディである。
まあ、えっと。
垂涎モノの一級品というか、その。
母さまが惚気て「見て、お爺ちゃんの身体! 素敵よねえ~あたしの理想なのよねえ」と。
鍛錬後に上半身浴してた時に盗み見してた時の話だ。
アレの娘から、あたしが出たのだと思うと。
あたしもアレを目指すのか?
ん?
「ヤったのか!?」
唐突に出た言葉。
未だ、混乱してる。
記憶に割り込む偽の記録。
この混ざり具合が魔法の限界ともいえる。
頭の奥がヒリヒリと焼き付くような痛みが伴う。
でも、栗の華が咲き狂ったような匂いが、密室の部屋に残り。
噎せ返るような強い汗の匂いも混ざってた。
剥ぎ取った布の下に、赤い花が咲く。
「破瓜???!」
「当方からは言いませんよ。は、ズイ、ので...」
噛んだっぽい。
らしくないなあ、後輩。
こいつも動揺しているのか。
「す、すまぬ。嫁入り前だというのに」
「責任を取ると申されますと...これはアレですか?! 先輩のセルコット姉さまの~お祖母ちゃんになってしまうとか? そんな方向でしょうか」
それちょっと嫌だなあと、あたしも思ったし。
彼女も舌打ちが出そうになった。
せめて、母親くらいならワンチャン。
「あ、うむ。流石に帰郷した時、儂が嫁さんに殺されるな。うん、殺される...酔った? いき、おいでその、若い...孫娘よりも若い、子供に手を出したというのも体裁が、な」
後輩を子ども扱いか。
まあ、言いえてだな。
後輩だって、外見年齢は歳相応だ。
結婚適齢期でもあるし、熟れた果実のようなものだけど。
エルフの目からは、うーんと。
よくて7歳児か、8歳児の幼児だ。
それを第二夫人だよと、領地にて領主代行も務めてる祖母ちゃんに、報告する勇気は...。
いあ、それは勇気じゃなく蛮行だ!
そして、その行動の結果も冥界の門を開けに行くようなもんだ。
な、もんで――爺ちゃんは葛藤してたんだ。
『え?! な、なに俺さま!!! 幾ら肉に飢えてるからって、6歳児に手を出しちゃった。マ、マジか俺さま。酔ったくらいで、えええええええええ????!!!!』
な、具合だったわけ。
巨乳好きだから祖母ちゃんを口説き落としたのに。
出るとこ未発達な子供に手を出した。
これはもう、万死に値すると。
「済まぬが、手前勝手な頼みだと承知もしている。このことは、教会内だけで留めて貰えないだろうか」
爺ちゃんが攻略された。