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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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裏切り? 盾騎士ネイザーと、くのいち 4

 ネズミは魔女の谷間に潜り込み睡眠につく。

 ここが一番安全な場所だと分かっている。

 それに念話による盗聴を防ぐなら、肌に触れながらが一番であることも。

 最初の使い魔にしては、よく魔法使いを知っている雰囲気で。

 そして献身的。

 頭のいい相棒である。

『あのネイザーって方ですが』

 大きな耳を軽く撫でられる。

 瞑ってた目も開きたく――。


 その目は、ゾンビの男が屋根裏部屋から出る影を捉えた。

「見えた?」


『はい、ご主人』

 これは確定。

 あれは()じゃない。



 確信があった訳じゃない。

 いや、なんとなく漠然とした勘違いなのではないかと。

 そんな気がしてた。


 女の勘とか。

 そういうのじゃなくて。

 以前、ストーカー紛いの行為をしてしまってからは、素気無くされた経験があった。

 だからこそ。

 抱き着かれたのには、驚いたのだ。

 いあ、このまま記憶が戻らなければ――とも考えたけど。

 武装であるタワーシールドを鬱陶しく思う仕草にも不自然さがあった。



 きっと、混乱してるんだろうって思ってた。

「気配感知」

 スキルというほどの技術ではなく。

 住処にしている家屋内には隠し魔法陣が仕込んである。

 乙女神さまの影響外でも初歩的な魔法が使えるよう、キャンディスの魔法学園では叩き込まれる。

 今現在、教科書として利用されるスクロールに認められている、魔法だって。

 かつての賢者たちが初歩の魔法を発展させたから、大技だとして残されている...とか。

『眷属たちの報告です!』


「うん、今、家屋の外に出たね」

 ゾンビは手慣れた作法か何かで、落ちてた石に見知らぬ模様を書き足していた。

 魔法使いだけど、あれはたぶん。

「魔法陣」

 なにの?

『中距離か、或いは長距離の交信用じゃないでしょうか』

 ネズミの目は、眷属から通してみているものだけど。

 それを肌から魔女に繋げてた。



 やってみると、奇妙な感覚共有だ。

 ゾンビの声は聞こえないけど、相手が不気味すぎる感じがある。

「これって引き払った方がいいかな?」


『引き払った方がいいですね』

 胸元にあるネズミは、主人を屋根裏部屋から家屋の地下へ逃がしてた。

 その家は、村長のものだったようで。



 意識だけが天界へと飛んでるあたしの躯は、瞳孔が開きっぱなしの非常に目が痛い状態にある。

 ミロムさんが頬にキスをした――無反応。

 後輩がディープキスに挑戦しようとした――殴り倒してたが、表情は硬いまま。

 たぶん自立防衛機能が働いたと見える。


「ちょっと!! ミロム先輩が良くて、なんで当方が張り倒されるんですか! いあ、嫌じゃないですけど納得がいきません。ですからヒルダ先輩もどうぞ、手を出してみてください」

 と、振ってみたけど。

「こっちまで巻き込むな。ミロムがいいのは、精神的にふたりがイチャラブしたいっていうセルコットの願望あってのことだし。こんな状態の姉妹弟子はなあ、首の皮一枚だってヤバイから手は出したくありませ~ん!!!!」

 昔、揶揄ってちょっかいをして。

 トラウマになった記憶がある。

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