復活の盾騎士、ネイザー 2
ががががが....
鎧が、がちゃがちゃ鳴り響く。
魔法陣の上で煮えあがった、寄せ鍋みたいな揺れのよう。
「ネイザーさん! 帰ってこい!!!」
と、呼ばれて帰ってきたらホラーだ。
いやもう、十分ホラーなんだけどもさ。
それまで身動きも一つしなかった肉塊がだ。
激しい貧乏ゆすりのような小刻みにうごくのだよ。
これは怖すぎる。
魔女だって目を凝らしてよく見てた。
瞬きもしないから、
「早く降りてきてー! 目がいたーい!!!」
へと変化もしてた。
何してんだ、この子は。
◆
神聖系魔法ってのは、邪神レーダーにひっかかり易い。
邪神に身体を預けてる男が肉欲に溺れてる中で、はっきりと何かが産まれたと知る。
うーん、これは知覚ってやつだな。
「今、ぴーんと来た!」
ベッドの周りに食い散らかしたような惨状。
天国に行きかけている女性たちが転がってて、部屋の中は汗と香の毒に満ち溢れてた。
「ぴ、ぴーん?!」
眼下の女性がヨダレまみれの顔で、
いあ、意識が飛んでるし。
目も開いてるんだか、激しい痙攣が見て取れる。
男の方は抜け落ちた竿を一振りして...
「俺の領域に何かいやがるな?!」
地中に埋もれた遺跡での一幕だった。
いあ、ゾンビが産まれても感じ取ったかもしれないけども。
◆
蒼炎の魔女の眼前に、半死半生のネイザー・へドンがある。
なんかちょっと燃えてるのは気のせいかな。
こう、蒼い炎が見えるような。
「こデあつクないよ」
血肉が通ってるとこは、生身っぽい。
炎を払って、ちょい肉灼けた匂いが。
「えっとえっと!!!」
ここは確認だよ、ね。
はーい注目ってな感じ。
「お名前は?」
じっと睨まれてる。
じーっと見てる。
ながいなー
まだ見てる。
えーっと。
魔女が手を伸ばしたら....
鼻息が当たる。
「?」
かっと見開く目。
いあ、いままで睨まれてた気がしたけど。
飛んでた意識が戻ってきた。
「蒼炎ノ」
「は、はい」
「逃ゲるゾ!!」
で腕を掴まれた。
その引手の強さに驚く。
半生のゾンビっぽいとこあるけど。
やっぱり何かデキたっぽい感じだ。
使い魔のネズミは、やや不安な表情の色は落としてない。
取り込んだ魂も混ざってるとしたら。
う~ん、ちょっと厄介だよね。