復活の盾騎士、ネイザー 1
使い魔となったネズミの理解力が格段に上がってきているような気がする。
蒼炎の魔女は、なんとなくだがそう思った。
いあ...
「この騎士を叩き起こすには、欠損した部位に代わる新鮮な肉が必要なんだ。うん、君の尽力には非常に助かっている。日常というスロースタイルな中でなら、君以上のパートナーはたぶん、いやおそらく見つからないと自慢もできる。いやいや、そんなに謙遜しないで。もっと自信や自慢もしていいんだよ!」
ここまで来て、
ネズミに何を諭しているのかと、魔女自身で妙な気分になる。
頭の中に木霊する、ネズミがしっかりと謙遜しているのだから、それをなだめてるので。
他人と会話するという希望はすでに叶ってもいた。
「そう、この欠損部位に血肉を通わせるために、部分的に生きた細胞が必要なんだ。うんうん、なるべく肉は傷つけない方法が望ましい。ああ、君の方で少し工夫してもらえる助かるんだけどね」
やっぱり会話が成立してしまってた。
敵地のど真ん中で、だ。
なんとも悠長なやり取りのようにも見えるかもしれないけど。
これ、実は声を潜めたひそひその会話なのだ。
◇
さて、集められた肉は使い魔の機転を生かしたものによる。
罠で仕留めた新鮮なウサギの肉である。
しかもノッキングによって、心臓はわずかに鼓動しているという驚異的なもので。
使い魔の急成長を魔女は身近に感じてるというとこ。
テイマースキルは、本来。
使役する動植物を服従させる効果しかなかったはずだが。
彼女が極めたのは職業的なテイマーだったかもしれない。
「ちなみにさ」
儀式のさなかで、よそ見をする。
使い魔のネズミからは『ちゃんと詠唱しないと!!!』と、叫ばれもしたが。
「君のステータス見てもいい?」
ネズミからは勝手に見ればいいでしょ!よそ見してると、ゾンビができるよ――的な指摘もあった。
死者の蘇生には細心の注意が必要だ。
まず、彷徨う魂が肉体とそれに連なるものかの判断がいる。
そもそも他人が入り込む余地だってあるのが、死者蘇生なのだ。
教会の墓所で行われる秘術は、乙女神の手を借りて、肉体と本人が強く結びつけられるというのだ。だから、これは褒められた事じゃないけども、死体回収屋という冒険者も存在して、商売として成立もするのだけども。
こんなゆかりもない、戦闘後の地で行う蘇生術は高度な神聖系魔法でないなら、十中八九、ゾンビが生み出されるのだ――蒼炎の魔女も100に3体しか、死者蘇生が成功したことがない。
聞かされたネズミの不安に満ちた顔色が、いろいろ物語ってしまった。
肉体が、小刻みに揺れ始める。
あら、あらあらあら....
ちょっと怖いんだけど。