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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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ようこそ、バヤリーナ。おいでませ、異教徒さん 3

 邪神様は悪食。

 出された食事は、まあ、とりあえず喰らう。

 出土した遺跡には、魂の狩場というのがあって――現在、市民をジェノサイドしてらっしゃる区域。

 ここで粗利された老若男女が日々の糧として、邪神の腹を満たしてるんだけども。

 これがまた、ダイエットしてるんですか的に少ないんだと、ボヤいてた。


 毎日200人を殺す行動。

 雇った傭兵でも逃げ出す行為なわけで。

 シリアルキラーでいいかとも違う。


 要するに、簡単な作業として成立させなければならない。

 私たちの食事と同じで。

 豚肉が食べたいなと思えば、市場から肉を買う。

 その元は、牧場にいた生物を〆て糧にしているのだから、それと同じ感覚で...


 いやムリです、ごめんなさい。


 家畜はOKで、人はダメは道理にならない?

 そんな哲学的な。

 豚が豚を殺しますか、みたいな。

 邪神教のみなさんは――



 邪神教は唐突に湧いてきたわけじゃない。

 学芸員の手によって発掘された旧時代文明の遺跡は、言い伝えによって存在証明が待たれてた。

 文献もある、伝承もあって、あとはその痕跡だけでいい。

 神の御手より呼ばれた異世界の者――古代に行われた勇者召喚ことだろう。

 邪神とは、その当時の勇者が堕落した姿なのかもしれない。


 文献は謳う。

 世界を天秤にかけた大戦おおいくさにより、人々の地は大いに乱れ狂い、赤く染まったという。

 戦場が天界ではなく地上にまで及んだ結果か。

 あるいは、チップ代わりにされた文明の喪失か。


 ま。

 この神は今の乙女神との接点はないっぽい。

 だって、彼女は“神の遊戯”を開いていないと言っている。

 数千年前に継承した神の座でもあるし。

 確かに彼女が、部族の娘だった時代から発展した統一王朝は、人の手によって滅んでいる。

 多くの歴史家たちが記した所によれば、だが。





 勝利者の記した歴史に寄ればだし。

 神様の力が無かったとも言い切れはしないだろうけど。

 あたしの耳にノイズ交じりの乙女神のかなきり声が聞こえた気がした。

 う~ん... 疲れてるね。



 やはり一堂に会された勇者たち。

 石棺室からほど遠くないところにひとまとめ。

 少年勇者は、羽織ってた布をそっと床に敷く。

「ボロだけど敷布代わりになるよ」

 少年よりも二回りは歳のいった女性勇者に座るよう勧めてた。

 紳士だ。

「この子にさせといて、他の男性陣は何をしているのかしらね?」

 やや嫌みっぽいけど。

 羽織ってた布は色の褪せた、信徒たちが用意したもの。

 本当は、ノミとかシラミで勇者の苦悶する様を眺めようと渡したモノであったけど。

 状態異常の無効化という雰囲気の加護めいたもので、蟲が近寄ってこなかった。

 いや、布には確かにシラミが棲んでいたのだ。


 が。


 気が付けば、引っ越ししてしまったようで。

 マジかよって言葉が漏れ。

 服の提供者からも「マジかよ?!」って蟲に再襲撃されてた。

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