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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
274/511

どっちを優先する? 7

 エルフにだって、魔力適正の()()ってのがあって。

 こう魔法ってのは、容器に入った水のようなもの。

 善と悪に偏っていると伸び率も変わるもので。


 容器の水を平行に保てる者は高みへ。

 水かさは増やせるし、透明度やにごり、濃度も自在に代わる。

 これは心のありようの話。


 さて。

 あたしの魔法は母方を継いでいた。

 この世界の亜人族としては、赦し難い()()()だって話になる。


◆◇◆


 百と数十年前に、あたしが生まれた。

 母が言うには難産だったという。

 丸っこい身体に、金色の体毛を持つ子だったとか――父方は、なんだ。銀髪交じりのハーフだったから、その...産んだ子が似てないって事で喧嘩になったらしい。ヤッたその時は、まあ、あれだ。母の処女を奪ったとかで盛り上がったっぽいけど。

 そもそも、身内で婚姻し合うエルフ族の伝統からすると、だ。

 母は外につがいを求めた点でも先進的だと思う。


 で。


 ()()の父は、母の腹を疑った。

 酷い話だろ。

 父親あんたの親は、金髪のエルフだったてのにさ。

 あたしは父に迎え入れられなかった。

 で、お爺ちゃんが来た。


 母が身動き取れないんで、呼んだっぽい。

 1年で、それなりに成長した。

 ハーフの血が疑われたけど。

 たぶん、加護のせいだと思う。

 男の子みたいなボブショートの金髪、右横髪に赤色の差しのある子。

 それがあたし、セルコット・シェシー。

 唯一、父が遺してくれた、あたしへの贈り物。

 かばねだけだが。

 これはこれで、いい。


 さて、身の上としちゃあ。

 こんなもんか?

『セル、セルコット!! ねえ、アレ...』

 ん?

 誰だよ、あたしを呼ぶのは。

 っ。




◇◆◇



 手を引かれた先に、アホみたいな大森林が拡がってた。

 ああ、これは故郷の南マダガスカル島の森だ。

 いやいや。

 まさか、あそこ... こんなに大きかったかなあ。

『セル! いつものアレやってよ!!!』

 急かす声は、誰だあ?

 ああ、なんか聞き覚えのある。

 村の子供たち。


 あたしよりも10年は年長なのに、背丈が小さい幼生体。

 よたよた歩くあたしとは大違いなのに、人懐っこさはまるでいぬのような雰囲気。

「しょうがないなあ~」

 照れながら、あたしは大地に手を着いて念じる。

《出でよ、我が声に従う獣よ》

 とかなんとか。

 はは、中二病、これ極まれりか。

 見た事も無いけど、懐かしい魔法円があられて――え、おいおい。


 煙と共に、飛竜の赤ちゃんが現出する。

 くぁ~って鳴く声が可愛らしい。

 いあ、ちょい訂正。

 当時は飛竜だと思ってたけど。

 よく見ると...これ。

 ドラゴンですねえ。

 あたし、ドラゴン召喚してるんですけど?!

 爬虫類に懐かれる、あたし。

 その横ではしゃぐ純真なエルフっ子ども。


 お、おい。

 マジかよ...

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