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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
273/538

どっちを優先する? 6

「信仰とは、奉る対象が誰であれ。当方が()()だと通じたものが、“神”になるんです。例えば、落ちてた小石を投げたとします――」

 道端で見つけた小石。

 手に取るまではおよそ、()()()()()()()くらいの観測までしかできていない。

 だけど、投げたら何かに引き寄せられたか。

 或いはたまたまの何かで跳ね返って、投げた本人に当たったら...どうだろう。

 では2投目、同じように戻ってくる。

 なお3投目も仕返しじゃなくていいから、足元に転がって見せる。

 さてもここまでなら偶然ではない。


 ここに投じた者の感情が入って、小石それは“信仰”の対象になる。

 まだちょっと胡散臭いなら。

 小石が気になって財布に入れてみた。

「まだ続くの?」

 ヒルダさんが飽きたようだ。

 彼女はあたしの何かを持っている訳じゃないし、セルコットの割れ目見れてラッキー。

 な態度だったんで、然程、ふたりほどの興味もないらしい。

「昔、みんなでお風呂入ったときにセルコットのおっぱい、揉んだくらいだよな」

 はい。

 いらんこと言わんでいいし。

 後輩が歯ぎしり凄いんで、揶揄わないで。

 殺気出しちゃうと、師匠がまた飛んでくるよ?

「ミロム女史の持つ、なんの毛か分らんのと」


「これは正真正銘、セルコットちゃんの縮れ毛ですよ」

 ほ~ん。

「――っ、当方の聖遺物の方が至宝なのです。で、それが如何にすばらしいかを」

 眩暈がする。

 この3人は悪い子じゃないんだよ。

 ひとりはどうかと思うけど。

 彼女らはあたしのことが好きなんだ。


 きっと。

 でも、



「お爺ちゃんは、いつ来るんだって?」

 あたしから離れないから、現実に引き戻すことにした。

 信仰だ、パンツだ、沁み付きだとのたまってた後輩が、険しくも凛とした表情に固まった。

 どーした、変態。

「当方、気になる事があります」


「えー、あ、はい。どうぞ」

 やる気がないのか、あたしも淡白な返しだった。

 なにせ、この数秒前までは他人の洗濯物を“聖遺物”だと言って、両者が非常に熱かったからだが。

 ミロムさんは未だ、あたしの方へ物欲しそうな顔を向けている。

 えっと...

 そんな顔の女性は――「あなたとの大事な絆の為に、子が欲しいの」――という流れでしたっけ。

 人間様の細やかな神聖的行為でしたか。

 あたし、応えられるかなあ。

「ロムジー閣下のお孫さんと言うのは、本当ですか!!」

 ドストライクな質問だなー。

 家族の話は学校で無理やり、ババアからレクチャーされてたよな。

 なんで覚えてないんだよ。

「当方は、先輩から直接、伺いたいのです!!」

 息が荒い。

 怖い怖い、なになにそのヨダレ。

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