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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
272/538

どっちを優先する? 5

「怖いなあ。兄上おにいさままで惹きつける、気配なんて出さないで欲しいですね。“紅司祭”殿?」

 正教会の中(組織構成とか、或いは権力の争いごととか)は、あたしにはさっぱりだ。

 乙女神さまも、

『千年単位なんて、せいぜい10分くらいの感覚。あれ? わりとある方ねえ、これは意外』

 なんて、別の方角へ関心もっちゃって。

 正教会のことは、これ以上掘り下げられないくらい表層も知らなかった。

 まあ確かに、祀られてる本人の知るところじゃあないわな。

 あたしだって...


 誰かに祀られてるかもしれないし。

「当方が先輩のパンツを祀っています!!」

 なーん。

 なにそのカミングアウト。

 怖いんだけど。


 言ってやりました的に。

 後輩の方はまんざらでもない。

 しかしだねえ、その潔さが逆にだねえ......あたしは怖いと感じてるんだが。

 ちょっとは、こっちも省みてほしいかな。

 いや、盗んだパンツは返却希望!!

「脱ぎたて、沁みつき、香りつき。パンツは旧文明の技術! ジップロックというもので保管してのち、当方が手作りの神殿に奉じておきました!!!」

 マジかよ。

 洗い物を盗むんじゃねえよ! アホか、この変態。

 返す前に洗って返せ!

「じゃ、じゃあさ。ご利益は?」

 恐る恐る。

「勿論、家内安全! 夜伽円満に御座います。散財はしますが、財は失った倍は返ってくるので...たぶん、財運、勝負運などもあると思われますね。今のところ当方は、ご利益がありっぱなしですから。体験談としても間違いのなしなので!!!」

 ああ。

 そっか...それ、あたしの...その、聖水で溺れかけたは入って無いんだね。


 いあ、いいんだけども。

 よかないけど、その些細なことはあきらめるとして。

 やっぱり聖遺物の回収を。

「ミロム女史も何か?」


「わたしも...何か欲しい」

 は?

「セルコットのちぢれた毛6本と交換しない?」

 え?

 ミロムさんは、大事そうに畳まれた和紙から遺物を広げてた。

 後輩の食指が動いた気がするけど。

 大きく左右に首を振って、

「いえいえ、恥ずかしい沁み付きですよ!? そんな、誰のかもわからない毛、毛などで聖遺物を交換し合うなんてことは。当方の信仰を愚弄する気ですか!!!!」

 いあ。

 あんたの信仰対象は乙女神であって、あたしじゃないだろ。

 セルコット教なんてのを立ち上げた覚えもないし、ましてそこの修道女にさせた覚えもない。

「信仰とは、奉る対象が誰であれ。当方が()()だと通じたものが、“神”になるんです。例えば、落ちてた小石を投げたとします――」

 ふむふむ。



 正教会に就職している修道女からの有難い説法がはじまった。

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