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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
269/511

どっちを優先する? 2

 乙女神とのやりとりはまだ続いてて。

 あたしの身体は風邪を引きそうな状況――もう完全に湯冷めしてるよ、この子。

 さてさて。


 聖水で溺れかけた後輩が、ようやくあたしに布を与えてくれた。

 一応、全快になった3人で再び、拝むことで示し合わせたあとのこと。

「ホーシャム・ロムジー、帝国の剣星にして。セルコットの実の身内!」

 後輩が『マジで!?』との驚きよう。

 ちゃんと家族の話したよ?

 今更じゃない。


 ま、その反応はそうだろう。

 お爺ちゃんは凄い人だ。

 エルフの長老種でもあるし、帝国に一族を招き入れてしまって...領地まで貰った。

 ドーセット帝国が武力で強くなったのは間違いなく、お爺ちゃんの御蔭に違いない。

 ついでエルフなもんだから、不慮の事故でもない限りは。


 まあしぶとく生き残るだろう。

 帝国の武力は千年は安泰かな。

 帝国が千年持てばの話でもある。

「教会なら千年持つ自信はありますが、国はどうでしょう? 正直、先輩を妃にしてハーフエルフを沢山こさえたら...千年と言わずに()()()持つ可能性はあるでしょう。近親相姦もやってもらって、そう、百年ごとに2、3匹でも定期的に生んで貰えば。その帝国の王族は不老の家に獲って変わるかも知れませんよ?!」

 後輩の他愛もない話。

 下種な。

 なんだって、あたしが。

「うむ、確かに...長兄あにさまには未だ妃は居ないし。ロム爺の孫娘となれば...伯爵令嬢って訳だ!!」

 爺ちゃんは伯爵なんて爵号と土地を貰ってた。

 遊びにも行ってるし、農園だと思ってた果樹園は領地の特産品だった。

 そう、身内なのにそんな経営の話を。

 あたしも最近知ったんだ。

「ヒルダったら!!」

 ミロムさんの語気が荒い。

 おお、心の供よ、伴侶よ!

 ミロムさんだけはあたしを心配...

「本人の意思はないの?!」


「こいつに王家の嫁となれっても、聞かないだろ。なんだかんだではぐらかすし、ロム爺のとこに逃げ込んでまた、引き籠りニートみたいな生活になる。王家の安泰の為ならば、人間種の短い時間での統治よりも、長く続く平穏さが」

 で、ヒルダの視線はミロムさんに誘導される。

 後輩もエルフだって気づかされるんだけど。

 彼女は、

「ざ~んね。当方は純粋な血統ではないのだ」

 初耳だ。

「クォーター、ハーフのハーフだから見た目は先祖返りしたものの、成長は人と同じに早く死ぬよ。...先輩と同じ学校に通ったんで、延命はちっと可能だけど老いの方は難しい。苦手な精霊魔法だとか、あとは星の核に触れる、深淵なる魔法に至らなきゃならない。でもんで、無理。修道女を妃に迎えようとすんなよ、罰当たり者が」

 最後は嘲笑い。

 タオルで顔を拭ってるし。

 修道女にしては俗物で、行儀も悪い。

 ミロムさんが後輩に『足、開いてる』と諭してて。


「で、この集まりは何だったんだっけ?」

 3人がふと我に返る。

 突然だけど、これが3人の特徴。

「先輩を浴室で発見して、3人で美味しく頂きましょうって集まった女子会だったじゃないですか!!」

 後輩が独り占めしたが、そういう提案も後輩からだった。

 納得はしないけどミロムさんも応じて。

 興奮しきったヒルダさんが豪快に鼻血を噴いて、荷物になった会でもある。



 宴もたけなわ。

 ホーシャム・ロムジーこと、あたしのお爺ちゃんの話に戻ってた。

 で、天界から戻ってきたあたしも目覚める。

 すっかり股の方がカピカピに乾いてるよ。


 すっげぇー痒い。

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