いつかどこかで、交わる道 10
さて、あたしが戦闘狂な聖女なのは...
まあ、理解させられた。
納得のしようがないのは、このまな板の奥の方で、ぐるんぐるんしたもんがあって。
兎に角、イライラが顔に出て。
『驚きだ、本当に驚きだ。今まではサポート・スキルだけが、与えられるんだと思ってた。けど、勇者よりも、前で戦うような戦闘スキルが...いや、待て。そうか、これらがレアなのか』
あたしのスキルを見て、即座に無能スキルとか言わんだけマシか。
真剣に向き合って、長所を探ろうとする。
神さまとしては合格ライン。
上からな発言だけど。
第一印象からはずいぶんと、変わったと思うよ。
この乙女神さまの印象ってのが。
「従騎召喚ですが?」
そうそう、気になってたもんがある。
乙女神が口走ったアレのこと。
一種の魔獣召喚とでも言うか。
極悪極まりない響きがこう、あたしの童心に火を点けて。
『ほーん』
ミロムさん、いや。
後輩に打ち明けたらきっと...
うん、きっと。
あの子たちなら羨ましがって、あたしを見直すだろう。
『そんなに都合よくはいかんだろ、ソレ』
ほわっ!!!?
また、あたしの心を。
『読むというより、駄々洩れだ。我慢し堪えてたおしっこが堰を切って漏れ出して、ついぞ足元に大きな湖を作って見せたように、バツの悪そうな子供がやらかしてるような...ま、そんな駄々洩れ具合でな。いっそ、ユルガバな子として清々しくカミングアウトした方がな。きっとまな板も幸せかもしれんぞ?』
また、そんな。
他人さまを非処女みたいに言いますか、ふつう。
言いますか???
言わないですよね。
ちょっと、非処女じゃないですよー
『あああああ~ 従騎召喚な。自分のレベルに合った魔獣の使役できるもんだ。かつて、北極から魔物たちが現れた時...当代の魔王は飛竜の背に鞍を載せてたという。まあ、その本人が操れてたかは定かでは無い』
ん?
『だから、これは口伝で。私がこの世界の柱になる前の世界だから...引継ぎ前の神さまが、隠居する時に魔界の軍団が襲来した時、飛竜の背にあったロリっ子魔王の話をしてくれたものさ』
はあ。
あてには成らないけども。
従騎召喚の条件は、個人の資質による。
上位ともなれば問答無用で飛竜。
中位や下位は運ゲー的要素の真っ只中と。
やだなー。
こういう時の引きはいっつもファンブルなんだよなあ。
「じゃじゃあさ、従者召喚は?!」
飽きられた節が無いのに、視線が寒い。
どうしたんすか、神さま。
『ついぞさっきも言ったけどさ、勇者の前でそのスキル使える?』
あまり熟考しないで。
「使うと思いますよ、だって人手が増えるんですよね?!」
ほら、凄い冷たい視線だ。
『マジかあ、この子はー!!!』