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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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いつかどこかで、交わる道 5

『賓客とまでは呼ばないけど、客として扱うのが私、この世界の女神としての役割ね』

 ちょっとムリしてる気はする。

 エルフだって人類だし、この世界の管理者からすれば足元を這いずり回る...

 でも、その一粒に敬意を払うというのは。

 その他多数のアリ一匹に愛情を注ぐという意味で。


 いや、誰も彼も同じ顔した粒。

 愛情を注ぐなんて難しいよ。

 あたしにも無理なんだから。

『舐めんな、エルフ!』

 すっごい自信だが、壁に向かって啖呵切ってますよ?



 乙女神さまの第一印象が、崩れ去る時が来た。

 というか人懐っこく、快活なお嬢さまという雰囲気が素で、高飛車な方は演じてると告白。

 なんか微妙に謝罪しているようにも聞こえ、

「あたしと対面な理由が未だのようですが?」

 気怠そうな女神。

 座り直して、伸ばす脚を変える。

 ...ちょっと待って、今、何か見えた気がする茂みの向こう...

『そうねえ、このチャンネルが一番の理由な気がするんだけど? ちゃんと理解は...している方、かな』

 さあ。

 さっぱり、乙女神さまの御使いの方々は――ダイレクトなチャンネルだと言ってた。

 あたしが仮に手籠めにされたとしても、あたしの()は穢されることはないとも...言ってたなあ。

『ま、そういうこと』


「どういうこと?」


『(俄かに曇る表情)まな板はオツム、弱い方なの?!』

 ええ、自慢じゃないですが、弱いと思います!!

 火属性魔法の中でも、火炎球以外が行使できないってのが、加護の問題ばかりじゃないってのを最近、知ったばかり。要するに、あたしが覚えやすかったもんだから、反復しているうちにキャパが偏ってしまった――これが原因だった。

 故に、あたしは弱いのだと思う。

 初歩中の初歩、生活魔法のひとつ殺虫魔法で死にかけたのも...

 ま、そういうこと。

『――っ、殺虫魔法かあ。部屋の虫を殺すのに家人まで巻き込んでガス室にする...確かに発想がエルフじゃないのは理解できるわ。で、魔法操作に長けてる種族とも違うのも、理解はしたけど納得しがたい事実を私に押し付けないで!!!! あんた、勇者をサポート出来ないじゃない!!!!』

 スリッパではたかれた。

 痛くは無いけど、どこからそんな小道具を。

 脇を見ると、御使いの妖精さんが小道具待ちで...



 一方、あたしの裸体を回収したミロムさんらの会合。

 同部屋には後輩と、ヒルダさんもあって三者が見つめ合う中心に、あたしの身体。

 えっと、先ずはシーツか何かを被せてください。

 意識が無いんで身震いすることは無いんですけど...

「ヒルダさん?」

 身を捩じって、あたしの足元から覗こうとしているものがある。

 呼び止められたヒルダが恐る恐る視線をあげた。

 にっこにこ微笑む後輩とミロムさん。

「お、おいおい、それ怖いんだけど」


「抜け駆けはよくありません!!」

 天界時間と下界時間にはとてつもなく大きな隔たりがある。

 天界の方は時間が流れていない。

 故に、乙女神さまは素の姿の時は、あたしよりも幼い女の子に見える。

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