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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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神々の集い

 乙女神は、あたしに申し付けた後にとある異空間へ。

 そこは何処という事はない、天上の世界。

 まあ、こういう場所があるのだとすると、冥界とか魔界もあるんだろうなあって。


 いあ、いやいや。

 重たそうな旅行鞄ひとつ、馬車から転げ落ちた乙女神。

 手を貸す従者もなく、眼前に聳える神殿へと上がった。

「――()の増長は際限がない!!!」

 神殿が聳えるような大きさなら、

 そこに集う神々も巨大であっても不思議じゃなく。

 その大きさは神格の強さであり、太さであり信仰の力である。

「邪心であれ、真心であれ奉られれば等しく、我らの神格に力を与える。ともすれば、人の増長などかわいいものだと思わぬか? あれは群れれば手を焼かしてくれもするが、孤独になるとすがってくる生き物である」

 上座で神々しく輝く光の神さま。

 右席の神さまと、左席の神さまはなんかレスバしてるっぽい。

 天上SNSなる石板があって。

 引用囀りの応酬を繰り返してて――。

《乙女神さま、御付きにぃ~》

 神殿にアナウンスされる恥ずかしさ。

 ただし、竜を御したとか。

 獅子を踏みつけたなんて紹介されずに済んだ。


 巨大な神々たちから向けられる視線は痛い。

 いや、それよりも。

 普段は露出狂を疑われる、乙女神の大人しい服装が気になる。

 肌の露出は最小限のドレス調。

 大きな旅行鞄は、受付に預けてハンドバックのみ。


 えっと、小さくてかわいい少女のように。

 どうしたんすか、あの哄笑は?!

「ご、ごき...げんよう?」

 蚊の鳴くような声で――



 乙女神に用意された椅子は、彼女のサイズに合わせられたもの。

 卓上までの高さが足りないから、怖くならないよう...

 いくつもの積み段が設けられ、さながら階段ピラミッドみたいな頂に。

「ふむ、お転婆が過ぎたな」

 片眼鏡モノクルを掛けられた神の有難いお言葉。

 貰って委縮しない者は無い。

 だって、光の神さまの右席にいる実力者なんだもん。

「ひゃ、ひゃ...い」

 手汗、脇汗、デルタ汗...

 濡れたままの雑巾みたいに、乙女神さまびっちょびちょで。

 異臭はなって無いかが心配になる。

「ところで」

 なんか匂わないって言葉出るたびにびくびくする。


「いや、神々の遊戯が()()()()()事は別にいい。勇者召喚は、それだけで行っている訳でもないからな...どちらかと言うと」


「害虫駆除!!」

 卓に付く他の神から。

 卓上にはご馳走が並んでるんだけど、どれもサイズ感がパネエっす。

「そう、駆除だ。どこの世界でも邪神となった神は、冥界なり魔界へと堕ちて尚も、自らの至らなさについて顧みずに他の世界への干渉の手を緩めない。故にヤツらの手垢を落とすための物が必要になる訳だが...そこの小さき処女神よ?」

 配膳された、自分サイズのパンに手を突けたところで。

 雷に打たれた。

 いや、自分が癇癪で落としたレベルの遥か上が真横に落ちたトコ。

 耳がキーンって成ってる上に、ツインテールの髪が灼けた。

 やや、焦げ臭い。

「ひゃ~い!!」


「怖がらせるな、儂の身内になってくれた娘だ」

 上座の神が皆を宥める。

 いや右席の神を、か。

「最大6人召喚できる勇者の失踪事件。聖女の行方不明、どれも神格が削られかねない重大な問題ではあるが、()()()()はまあ、そういう経験も必要である。よって、儂に親孝行することで罰とするが。早々に聖女だけは見つけるのだぞ?」

 激アマの父ちゃん風味だ。

 右席の神は諫言して諭してるけど、まあ。

 光の神さまは、にっこにこ微笑んでるだけ。


 乙女神さまの方は、喉に食が通らない緊張の中で食事。

 何が出されたのだって覚えてない。

 その後、バツが執行されて――胃もたれと共に帰還した。

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