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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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邪神教という者たち 7

 と、そういえば。

 神の声が耳に届くものに“聖女”としての才が目覚めるとか。

 なんとなく胸騒ぎがする。

 こうざわつくような、胸騒ぎがだ。


 勇者降臨の折。

 あたしは、王国での修行から一時帰国って形で、爺ちゃんの下にあった。

 爺ちゃんとは朝から、修練に付き合わせちゃって。

 たしか...

 そう、そうそう。

 ふたりして正教会からの有難い説法を聞き逃したんだっけ。

 乙女神が信心深い者たちに美声を轟かせて――

 あの腰痛持ちの中年勇者を遣わせた訳だけども。


 そうだ。

 あの時確かに乙女神の高飛車な哄笑が響いてた。

 あー。

 いやあ、あれ~。


 あれれれ~

 ちょっと待ってくださいよ、お〇みさん...

 帝国の三の王女は、聖女が自称だと言った。

 うん、後輩から聞いた。

 確か...そう、あれは逗留してた帝国の宿屋でもだ。

 何故か隠れて宿泊してたのに、彼女はあたしの部屋で甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたっけ。

 朝も昼も、もちろん夜のお努めとか理由をつけては...あたしのトコに来た。



 おっと、後輩ちゃんの視線が熱いぜ。

「故に、あの場にあったすべての女性には“聞き取り”を行ったんですが、皆は口々に『我こそは、聖女なり』なんて言うんです」

 そりゃそうだ。

 勇者一行の最前列で、ちょこちょこっと魔法で支援するだけでいい。

 勇敢なる男の背中を見ながら、夜のおかずはこれで決まり!!!ってな、活動写真が見れるのだから。

 それだけじゃない!!


 もっとも、ここからが世の中の人が「なりたい」と思う理由。

 贅沢な暮らしと、生活の保障、十分すぎる給金が出る。

 あたしはガッツポーズしてたよう。

 ガッと、後輩に睨まれた。

 なんだよ...

 どうした? 生理か?

「結果的に言うと、ひとりには逃げられて聞けませんでした。普段からぼーっとしてて、神だの馬面の御使いだのの声が聞こえて、ほとほと迷惑しているとか妄想か、虚言かを吐くどうしようもない女性ひと何ですけど。高位の精霊みたいな長命なる人類として...当方も扱ってきたわけですが」

 ほう、そんなダメな子いるんかよ?

 後輩の手を煩わせるか...

「毎朝の禊前には、夢語りでもするように。神とその御使いの話をするんですが...」

 禊ってか、沐浴な。

 寝転がってるだけなのに、脇汗が凄くて。

 これに乳房が寝返り打つたびに、零れ落ちてたらと思うとぞっとする。

 乳房の付け根と、見えない下乳は汗疹で感心ならん、絶望的な皮膚病になってるわ。

 まあ、ヒールあるけどさ。

 風邪を拗らせて治癒魔法って使わないでしょ?!


 生活魔法の盲点。

 治癒魔法って、生活に密着しないんだわ。

「そして、本日の朝!!」

 ばばばーんって、何処からともなく卓上が叩かれた。

 えっと、弁士になった?!

「とうとう、当方もあれが虚言ではないと知ったのです!!」

 はい、なにが。

 おい、後輩ちゃん怖いよ、その目は怖いよ?!

「このエルフ! 神の啓示が聞こえているんです」

 宗教家の()()()()って怖いね。

 今まで痛い子だと思われてた、あたしが“聖女”になったよ。

 てか、神の声聞こえるのって...宗教家なら、ねえ。

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