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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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邪神教という者たち 5

 多くの信奉者や神秘主義者の中には、その世界では認められない“神”もある。

 これらの教義ものがたりでは、天界のルールにそぐわなかった者たちが、徒党を組んで戦いに臨むという物語もの

 結末も一貫していて、徒党を組んだ神々は必ず負けるのだ。


 ここでの教訓は、とすると。

 “出る杭は打たれる”

 “長い物には巻かれろ”

 “泣く子と地頭には勝てぬ”...などなど。


 とは、いえ。

 仮に間違っているのならば、諫言は耳が痛いほどいいとも言う。

 天界から追放された神々がすべて()()という事はない。

 が、ルールを定めるものが....


 あの乙女神だとすると、

 少し首を振りたくなる。

 頷いたと見せて、恭順したようにみせて背中から刺したい気分である。

 あれの我儘は...無視できない。



 さて。

 勇者たちの排除には一応の成果を果たしたとみなす、徒党は悩んでた。

 苦しんでたともいえる。

 食事を与えない、不衛生、不潔にしておけば病気でコロリと行くものかな?

 とか、安易じゃないけど。

 そういう方法しか取れない事に苦悩してた――時期がありました、と。

「なんで死なない!!」

 主語が無い。

「知るか、この世界の規格外ってこと...くそっ!」

 勇者を装ってた男も大概に。

 どかっと椅子に座って、仰け反るのみ。

 勇者でも、必ずしも万能という訳では無かった。


 毒を盛る。

 致死性なのに()()()程度の効果しかなく途方に暮れた。

 が、魔力封じの枷は効いてくれた。

 部分的な弱体は可能だと知る、これは次に生かせた。


 人質を取る。

 効果的だが、条件範囲が限定的だった弱体化が確認できない。

 故に配下の信者たちに多大な犠牲を生じさせてしまった。

 これの対処に、聖女の死が関与する。


 聖女を盾に、勇者に迫ってみる。

 潜入と信用を得るまで数年というリスクがあった。

 最早、リソースとコストの問題で、多用出来ない事に悩む。


 最後は、

 まあ...降臨と共に挿げ変わった。

 邪神あるじの御力を使って干渉した結果、目覚めかけてた“神”が眠りにつく羽目に。

 これも多用出来ない。


 もう、来ないでくれ。

 これが彼らの叫びである。


 で、次なる問題は。

 とっ捕まえた勇者は、その根源とする力の行使を封じることはできても。

 そもそもで、彼らを破壊することが出来ないという点が残った。

 最初に捕まえた勇者は、あきらかに老人だった。

「齢80のワシに何よう?」

 猛毒も猛毒、もはや劇薬にも等しいオカアメフラシ(陸上にて棲息する魔獣系の環形動物)の粘液から抽出した()()を食事に混ぜ込んで撃退したのだけど。アジトに運び込んでも、手足のしびれが取れないんじゃがって()()()()

 マジ、死なない。


 撲殺しようと試みたけど。

 そこ、そのあたりのコリが酷くてのお。

 もっと強めに...

 マッサージだと思われた。

「なんなんだ、あれは!! 最早、生き物か?! 女神はこの世界に何を送り込んだんだ!!!」

 だから知らないって声が飛ぶ。

 部屋中からだ。

 詰める大部屋は、遺跡の中の一つ。

 カビ臭かった空き部屋を丹念に掃除して、住み込みで監視できる部屋にした。

 今は、大部屋として会議の場に誂え直してた。

「どうするよ、ザック」

 勇者に扮してた男に振った。

 うん、彼、そんな名前なのね。

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