邪神教という者たち 4
世の中には色んな宗教を心の支えや、
或いは人生の指針にしている人たちがある――信仰ってのは、1日こう過ごしなさい。1年はこういう行いをしなさい。生涯ではこういう生き方をして終えるのです....そんな教義を通じて人々に神々の「信者の在り方」について説いている。
神様の格や、神格の高さによって得られる特典もまた、魅力的だ。
例えば、鍛冶の神さまは...
ものつくりの技術や、大成に寄与するギフトをくれることがある。
一応、捧げる王冠の数で決まるのは、ガチャ運も必要になる訳だけども。
他では、知識の神さま...
魔法学や、薬草学、医術とか多様的に派生しやすい、広い恩恵のギフトは基本スペックは非常に高いんだけど、ここに落とし穴みたいなのがあって。捧げる王冠の数で広く浅くなんて状況になり易い。
生涯のうちに財を投げうったところで、王冠を手に出来る一般人は...
あたしの知る中では、せいぜい10枚程度。
「そうか? うちの知り合いの交易商は借金の形で」
解説にあるトイレの個室中。
とびら一つを挟んだ形で、手を洗うヒルダさんが呟いた。
「――セルコット狭い人脈じゃあ無理もないがな。私の方でごく一般の人々でも大枚を叩けば15枚、娘か自身が身売りでもすれば支度金で20枚なんてのも、ギリ可能なんだから。生涯で考えるならその20枚からハウマッチなんじゃね?」
あ、ありがとう。
指摘のソレは話半分に聞くわ。
ヒルダはドーセット帝国の姫君だから、
付き合いだって、上流である可能性はなくもない。
師匠も皇籍から抜けた皇子であるし。
じゃあ、ミロムさんか後輩か。
「だから、私の人脈をセルコットの尺で量るなって!!! そんなとこに籠って、そんなに出ないのか。エルフの癖にウインナーだとか、塩漬けの肉だとか、小麦粉で練ったパンなんぞにオリーブとバター塗りたくって野菜を喰わないから...出難い身体になったんじゃないだろうなあ。いいか、食事とお通じの関係はだな――」
ヒルダさんから謂れのない疑いを掛けられた。
膝下まで下したショーツとパンツ。
板張りの厠に座り込んで数分――わたしの中では数分だけど、硬く閉じられた扉は2時間らしい。
マジかよ!!
疑われて当然じゃんか。