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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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邪神教という者たち 3

 さて。

 あたしの方だけど。

 困ったことに、長逗留することになった宿屋の個人部屋にて。

 蟲と格闘中である。


 この蟲がさあ、ひとの股下の柔らかいトコを噛むんだわ。

 痛痒いっていうの? アレ。

 で、覚えたての殺虫魔法で、あたしも死んだ。

 噴霧系ガス魔法って身体によくないのね。



 目が覚めると――「ここは何処ですか!!!」

『煩いわねえ、わざわざ()()()に相応しい御使いを選んでやったのに、こともあろうか使い番を殺そうとかする?! いや、しないわよ普通は。あのまま柔らかいところ刺されて悶絶に苦しみながら、こっちに来てもらおうと思ってたのに。まったく台無しじゃないのよ!!!!』

 勝手に怒られてる。

 あ、これ...糞乙女神だ。

『あれ? そんな態度でいいの』

 うーんと、ごめんなさい。


 こっちの態度から、考えてる事が分かる神通力は困りものだ。

 じっと女神を見る。

 見たら見たで、怒られるんだけど。

 今回は然程、余裕のない雰囲気だった。

『この間、まな板が言ってたじゃない?』


「えっと?」

 物覚えが悪いと、殴られた。

 ふひ、ママンにも叩かれたことないのに。

『そういうのはいいから。収穫祭でのことよ...』

 あ、ああ。

 あれか。

「腰痛持ちの中年勇者の話ですか?」

 まただ。

 また正直に言っちまったよ。

 だが、逆鱗が...あれ、ない。

『神殿の方々に問い合わせたら、本当に腰痛持ちなんかじゃないんだけど。()()の印象が何者かによって挿げ変わってることに気が付いたのよ。いつから?』

 えっと。

 わりと...降臨後からずっとのような気がする。

 中年だから、腰に来る仕事は辛いんだよねって、直接言われたことくらいか。

 だからてっきり腰痛持ちだと思ってた。

『そんな筈は無いのよ』

 と、いうと?

『ギフトと加護による相乗効果により、かつての世界から持ち込まれた病気の類は、完治あるいは新品同然に書き換えられている。これが()()()()()()()な訳だけども、まな板がそうであると思ったのだとしたら...私が送り込んだ者は誰?』

 乙女神も気になったんだ。

 いや、送り込んで放置してたのを他の神に指摘されたので、実態調査に務めてたようで。

 結果的にあたしに白羽の矢が立った。

 神とのパスの繋がってるあたしに。

「さあ、あたしたちに分る筈もありません」


『そうよね、まな板に問うのも馬鹿らしいわね』

 このセリフには“()()”ってのがあった――『仮に、勇者失踪事件。扱う事があったら、逐一報告はしてほしいの、分かってるわねまな板』――で、覚醒したトイレの中で。

 確か。殺虫魔法で死んだような。

 いや、なんか思い出したくない夢だったような気がする。

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