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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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邪神教という者たち 2

 乙女神は世界を()()()()柱のひとりだ。

 ってことは、あたしの神さまに仕えている、馬面御使いたちから聞いた話。

 正確には担当という言葉を使ってたけど。

 あたしの処理能力が弱い()()()じゃあ、言ってる意味が殆どわからなかった。


 ただし、今。

 乙女神の素性よりも、それが遣わしたという()()()()が大問題だ。

 こいつらは異世界人。

 しかも、性能スペックはカタログ以上の化け物たちで。

 加護を失っても、その強度は常人の幾枚も上と言うのだから...。



 ドーセット帝国の討伐隊を殲滅した者たちは、旧い遺跡に潜った。

 ここは“かつての戦場”である。

 遺構はその後に建てられたものだという。


 その場に、

 勇者を騙った男と対峙する者がある。

 第一大陸で捕えた少年勇者。

 ハイソックスとショートパンツの似合う、中性的な少年の...。

「これで全部かな」

 乙女神が遣わした勇者たち。

 見渡すと、壮観。

 圧倒されるとでも言うべきか。

 まんま圧が強すぎて、常人なら吐いてもいいレベル。

「いやあ、そんなに睨まない。睨まない...おじさん、困っちゃうなあ」

 重度の猫背、精悍さの欠片もない男がそこにある。

 ただ、睨む勇者たちには枷が。

「この、これは何だ!!」

 少年が噛みつく。

 ステータスに余裕があるのか、蹲って小さく震える様子はなく。

 大人相手でも威勢よく噛みつくよう。

「それは、枷だね」

 まんま。

「分かってる!! 似た物はボクの世界にもあったから!!!!」

 そこじゃない。

 ステータスに浮かぶ『加護の喪失』が気になる。

 枷によって発生しているのか。

 土地によるものか。


 いや、この地に招かれた時には無かった警告文。

 なら...

「ああ、いあ。それは枷でもない、全く別の作用によるもので...君たちから()()を奪ったところで意味は無くもなかったあ、くらいか。本当に大した意味じゃあ無かったのが、癪に来る!!!」

 急変する態度。

 これは彼の憎悪であろう。

「入念な計画だった筈なのに」

 企図したとおりに運ぶことの方が稀だ。

 全体が大きく狂わないよう、小さいところで下方修正するのはまあ、常識の範囲。

 勿論、きっちり枠にはまった計画よりも。

 少し甘いところを残してた方が、修正の舵は取り易いものだけど...

 これは、

「いやあ、済まないけど」

 新入りの勇者枠が語り掛ける。

 中年勇者だが、ちょっと気分が悪そうな雰囲気で。

「申し訳ないけど、聖女さまは」


「ああ、あの娘か。帝国の三の王女だっけか? 利用価値もなくなったから、活動資金になって貰ったよ。勇者の手垢付とは言え、元王女...その辺の趣向が好きな連中には垂涎の極上品だったようだが」

 中年勇者から怨みがにじみ出てる。

 周囲からは「どうどう、落ち着け新入り」なんて言葉が掛けられる。

 彼らの聖女は死亡してた。

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