勇者と遠征軍 2
帝国の大陸には未だに解き明かされていない、未知なる“落とし物”がある。
先の“カプル”周辺で縦横に奔り回ってる...竜のような魔獣も、そのひとつ。
さても。
魔神見つかる――なんて報告のひとつで、そんな不思議いっぱいな大陸を離れても大丈夫なのか。
「おお、確かにそうだな」
師匠も食いついた。
流石に頼み過ぎたトンコツ料理に飽きたところ。
30もとうに過ぎた師匠だから。
その年齢では、脂っこいのもそろそろ体質的に合わなくなって来た頃合いだろう。
摂り過ぎると、お腹を壊すんですよ。
うーん、人は歳をとるよねえ...
「あ、そういうバカ弟子は摂ったもんはみんな糞か、腹に行くんだっけか? ちっとは自分の腰回りを気にした方がいいぞ! す~ぐ、中年みたいな腹になるかなあ~ デブなエルフは誰に需要があるんだろうな」
ほわわわ。
え、ま、マジ...で。
あ、あたしの腰は未だ...
大丈夫だよねって、ミロムさんに相槌を求めたら。
さっと顔を背けられた。
後輩は――いない?!
ヒルダさんもー
どこいったぁぁぁぁぁぁぁぁ
◇
アイヴァーさんの目の前にあった皿は脂だけに。
よく食べましたね、それ。
「シグルドがな」
え?
「ええ、なんで自分が処理してるんです?」
不思議ですって表情で。
ふたりの先輩後輩歴は、聞いた限りじゃあたしんとこよりも短いらしい。
と、なれば。
「大して変わらないってか、ほぼほぼ同い年です」
じゃあ、なぜ。
「1日でも先に入れば、先輩だろ」
武門ですか。
やだ、殆ど体育会系。
「で、セルコットさんの腰回りの話は個人的に気になるんで、後で見せて貰うとして――」
えー?!
見せませんよ~
「確かにそんな、不思議大陸から離れられるもんか?」
あ、うん。
それは勇者を身内に持つ、ヒルダさんが応える。
兄の師匠は答えを知ってても、教えてはくれないだろうし。
いや、知らんね。
あの鼻ほじしてるようでは。
「勇者召喚が我々だけの一例では無いからですよ。一応、私の知り得る情報だけとして...公開できるとして4人となります。多分、今のところ魔神相当に対応、適応できる“力のある勇者”だけを絞ってが条件になります」
え。
うわー、何でそんなことに。
勇者って針でも垂らしたら、勝手に釣れるもん?!
「世界の危機に即して、は。教会の建前って事でしょう」
いいんか、それ明かしても。
トイレから帰ってきた後輩がある。
手も拭いてるし、ちゃんと洗ってきたようだ。
「当たり前なコト、聞く?」
だって、洗わない人多いじゃん。
物凄~く深い溜息を吐かれた。
「手も洗わずにトイレ出た後で、腹痛になった冒険者は多い」
はあ。
「教会もトイレに入る前と、出た頃に手を洗う事を推奨してる!! これは一人一人の衛生的――」
なに?
後輩の熱弁が途中で止まった。
ヒルダさんがじっと見てるんで。
「なに、大? 大だったの??」
「は?」
「大かぁー」
「違うわよ、小でも手は洗うの基本でしょ!!!」
えっと、何の戦争になったん?