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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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勇者の覇業 4

 隠してるつもりは無いが。

 ロムジー家は、母の家系だ。

 お爺ちゃんとの仲もわりと良好で、帝国に遊びに行ったら――なんだかんだで都合をつくって遊んでくれたこともある。まあ、その当時のお弟子さんらには悪い事したかも『孫とのデートなんで、お前らは勝手にそこら辺で素振りしてろ!! いいか、孫とのデートを一瞬でも邪魔してみろ?! 城外でミンチにしてやるからな』とか恫喝されたって話。

 あれ? この話。

 ヒルダさんから聞いたんだっけ?


 まあいいや。



 食いつきが良かったのは師匠だったなあ。

 隠してたわけじゃないけど、遠回りに隠匿してたようなものだからか。

「じゃ、軍用七法は」

 首を横に振った。

 知らない()()はしていない。

 ただ、全部は知らないだけ。


 お爺ちゃんがみっちり教えてくれたのは剣術だったし。

 そのあと「誰に教わったら、もっと強くなれるかなあ」なんて他愛もない話をすると。

 お爺ちゃんはやや寂し気に。

「リーズ王国の剣術指南役が適任じゃろ。儂の名で紹介状を書いておく...帝国式の孫がお前のとこに学びに行く故、末席に必ず迎え入れて免許皆伝まで面倒見ろ!!と、恫喝しておこう」

 いやあ。

 そんな物騒な紹介状要らないよ~

 とか、会話したような記憶があるような。

 ないような...

「マヂか?!」

 師匠曰く。

 格闘術の基本が出来ていたから、なんとなく癇に障ったという。

 そこで厳しく“雑用係”として当たったというのだけど。

 師匠は、あたしの目の前で平身低頭に謝罪してきた。

 うっわ、

 これ...あかん奴だ。


 個人の技量には何ら関心がなく。

 バックの状況で手のひらをクルクル回すタイプ――それが師匠だと。

「じゃ、じゃあさ! 私とも姉妹弟子とか...そんな感じ?!!!」

 ヒルダさんの方は好感度抜群だ。

 てか、今、急上昇しているあたし。

 おおお...

「セルコットちゃんて凄かったんだ!!」

 馭者のアイヴァーさんが振り返ってた。


 前、前見て運転をぉぉぉぉぉ!!


 二頭の馬が左右に分かれて歩き出しそうになってた。

 手綱を握ってない証左のような。

「――で、でさあ!」

 後輩が話に横やりを入れてくれた。

 これ以上、あたしの素性はバラされるヤバイ。

 何がって。


 王国式も帝国式も極めている事実。

 ただの田舎娘的なエルフじゃないこと。

 ま、世間には疎いけど。

 そこら辺のもろもろに~

「魔獣を倒した勇者さまはそのあと...」

 どうしたの?という流れに戻す。




 旅は長いのだ。

 あたしの事で盛り上がる前に、吟遊詩人たちが語る勇者の物語に胸を躍らせよう!!

 ってことで。



 三つ首の魔獣を倒した一行は、帝都に戻る。

 皇帝と勇者の間には“父と息子”のような固い絆が生まれてた。

 いや、どっちかというと戦友のような――もっとも同年代から『お義父さん』とはちょっと呼ばれたくはない。三の王女が惚れ込んでいるとはいえ、皇帝の醒めた目には、無精ひげと顎と首の境目がない凡庸な中年男性がそこにある。

 胸鎧の上から拳で何度も叩いて戒める。

 あれは、世界を救う勇者である、と。

 と同時に婿になるのではという不安。

《ちょっと嫌だなあ...》

 って吐露しちゃってた。


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