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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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聖都の始末 2

「被害の甚大さの脅威度、或いは復興の進捗度から“最悪をSS”として。商業地区は暫く壊滅的言っていい。太守殿としては複雑な気持ちだと思うぞ?!(あたしが師匠の目をジト目で見てる)何だ? 何か言いたげそうだな」

 ぷいっと頬を膨らませ、ミロムさんに甘えてみた。

 あたしの傍でリンゴの皮むき中だから。

 ま、報告会と言う割に...

「ヒルダか? あれも入院中だ。暴れ出しそうなので、ひとまずは再び気絶させて、拘束具を噛ませてある。暫くは起きんだろうからこのまま、報告会を続けるぞ!!!!」

 なるほど。

 そういう事ですか。


 可哀そうなヒルダさんだ。

 ミロムさんの耳打ちに由れば――あたしを風呂で溺死させかけた後、急に癇癪が起きたという。

 風呂場で大立ち回りをやらかした皇女殿下の、あられもない姿が太守の耳に入り、暴れ出さないよう軟禁することにしたという。

 きっかけは、心的ストレスか何か。

 彼女も存外ハートは砕けやすかった、と。

「太守殿の心労は察して余りある。が、我々身内から商業地区を破壊するような、バカが出なかったことが幸いと言うべきだろう。俺がいうのもアレだが、ヒルダはゴリラ並みゆえに心配だったんだが...結社が雇った暗殺者殺しに()()()()で、損害を押し付けることが出来た。これはこれで重畳」

 とも、言い難い。

 それ、あたしが背負っただけじゃないですかー

 心の声。

「誤算と言えば、もう一つ。結社の資金力だな!」

 国庫に残された金貨の量は質ともに極上であった。

 また、一味として捕縛された“龍海”商会の金蔵からも、同様の金貨が見つかって。

 一網打尽という形に。

 ウイグスリー卿は、それでも商売仲間の“龍海”会長の助命嘆願を行ったという。

 国家転覆は死罪が習わしである。

 が、商会長の家族が或いは、従業員が人質であったことも考慮すると――聊か他人事ではない。

「死罪免除で、私財没収ってのもあるんだけどな」


「韻を踏みました?」

 あたしの頭に拳が振ってくる。

 寸でのところで、ミロムさんに助けられ――やわっこい胸の中に顔が沈み込む。

 ああ、天国です。

 しかもいい匂いする~♪

「なんだい、姉ちゃん?!」

 ミロムさんが無口でいる時は怖い。

「ま、いいや」

 師匠が折れるとは。

 槍が?

「降らねえよ。ただ、まあ...この女は太守殿にも近づいてて、やり難いだけだ。俺と、太守殿の仲を裂きに来るとなると俺のこれからの計画に支障をきたす」

 禄でもないこと考えてるな。

「あああ!?」

 やんのかって凄みなんだけど。

 ミロムさんと対峙すると、肩透かしに感じ。

 これ以上に突っかかってくる様子もなく、大人しくなった。

「えっと、で。後輩と、シグルドさんは?」

 そう、後輩の姿が見えない。

 他宗教の国だから、彼女が修道女としての行動は無いと思うのだけど。

 師匠は、病室から外の鐘楼あたりを見てた。

「紅の嬢ちゃんなら。教皇庁にある、中央聖堂に向かったようだ。で、シグルド...シグルドな、あのイケメンは傷の具合もほどほどに鳩小屋へ向かった。詳しく聞いてないが、定期報告があると言ってたな」

 ほう。

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