表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
163/507

聖都の攻防 19 父と息子 5

 頭痛に悩まされながら、

 気絶してた皆さんが各々で覚醒し始める。

 えっと。

「――あたくしセルコット・シェシーは、この度“()()”に入団することになりました!!」

 所信表明と、事後報告みたいなノリでやってみました。

 がこれは逆効果だったみたいで――師匠からは理不尽なことに殴られた。

 我が愛しのミロムさんからは「就職、おめでとう」って祝ってもらえたんだけど。

 その返しで「その前に“鬼火”と二足の草鞋、よろしくね」と...。

 こういうところは本当にしっかりしていると思う。


 えっと就職したという事は...

 まあ、いいや。

 ヒルダさんは放心状態で。

 後輩の方は、あたしじゃなくて兵士の方へ詰め寄って――「当方にも声かけなさいよ!!」なんて凄い剣幕だったのが印象深い。あたしのなんとかフラグの回収と、イベントはこうして静かに過ぎ去っていくのだった...。



 そうそう。

 現実に戻すと、太守とウイグスリー卿の立場はなにも変わっていなくて。

 ガセネタとは言え、結社に“猟犬”の方々を売ったことは紛れもない事実――おとしまえは()()つけるんだって流れに――。

「ならないね、こちらには実害がないからね」

 と、兵士はさりげなく。

 ほわ?!

「ま、実害はなくとも結社と関わる方を選んでしまったのは...頂けないね。物語の流れを配慮すると、とうとう我らが介入しなくちゃならん()()()が立ったわけだ」

 ちょいちょい、あたしの思考で話が進む。

 ま、まさか...?!


 見上げると、あたしの脇には例の兵士が。

 頭を撫でてたのは...

「この世界の人々との思考から、ズレないようにするためだ」

 魔界から来たのだから、天界や人界ともパスの繋がり方は時代や、あり方で違ってくる。

 あたしの場合は、天界とのパスが太いんで――ま、情報漏洩にも似た形で駄々洩れたとこ。

「王冠を欲した理由を今理解できた」

 咀嚼したっぽい言い方!!

「結社の何が...」

 太守はしばし考え、

「確かに相手が悪かったとは思えるが、仮に協力しなかったら聖都だけでなく新しく選出される法皇猊下と聖国の行方も危ぶまれる!!」


「それで、苦肉の策とでも?」

 選択肢はあった。

 太守はそれを指摘された――父を頼れば、結社に関わる以外の行動ができたことに。

 自分の中の正義に囚われて、そうした選択肢を狭めたのだと。

「分かってるさ! 分かっていたから、父に不甲斐ない姿を見せたくは無かったのだ。あの人ならば確かに法の不備を突いた、ギリギリで何か見出してたかもしれないし、それこそ“猟犬あなたがた”に助けを求めるような連絡もできたでしょう」

 あたしの左横にある元師匠似の兵は、首を振ってた。

 選択肢はあっても、状況次第でしかないと。


 でも...


「...ひとつ、太守閣下にご教授いたそう。結社の連中にとっては“服従”という言葉しか興味がない。甘い言葉で耳障りの言いことを口にしているだろうが、ね。基本は、彼らが信奉する組織ぼたいの為の利になる行動しかしないものだ」

 結社かれらは枝葉、ですと?

 また、頭を撫でられた。

 兵士の横で、牙むき出しの後輩の頭も撫でている。

「あいつらは、この国の信用を失墜させ、信仰を消し飛ばす!! 天界と人界に張られたパス...秩序、いや簡単に言うとルールだな。これの再構築が目的だろう」

 三界ルール。

 この世界は人界を中心に、上を天界。

 下に魔界があるとされる――ラグナル聖国が定めた教義に記されてた。

 人々はそうだと思い込んでいる。

 あたしも...

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ