表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
156/507

聖都の攻防 12

「狩人たちの仕業か?!」

 大老の尻がムズムズしていた直感が刺さった感じだ。

 用意は周到に、行動は大胆にして鋭く動いた――結果、現時点ではほぼ目的に沿った形で動いてた。

 ひとつのミスも許されない、ことはない。


 結社の目的は、聖国が教会を通じて動かしている“権威”という力だ。

 それは大陸を巡る“血”にたとえられた“貨幣”である。

 大陸の常識は白金貨であるから、純金の魅せる光沢は未知であった。

 国庫に蓄えられた黄金色の誘惑。

 総石作りの床に敷き詰められた、それの放つ輝きに魅了されないものは居ないだろう。

 あれこそ魔力だ。


 純金貨が世に注がれた時、金の相場は暴落して――世界中の価値観が壊れる。



 “龍海ロンハイ”商会は進捗状況を麾下の小店こだなから通じて、オークニーの大老に報告している。故に、商会長自らが馬車で乗り付けて、商業の被らない彼の下に訪れる必要が無かった。

 これが秘密露見の切っ掛けとなった。

「まあ、来てしまったものはどうしようもない」

 青年マディヤが説く。

 彼より二回りも年長であろう老人ふたりを前に、

「翁よ、これは失態だよな?!」

 後ろ手に組み、とつとつと歩きまわる。

 青年に詫びれるオークニーは、苦笑してた。

「ですね。...少し調教し過ぎました」

 この会話での部外者は、まさしく“龍海ロンハイ”商会長である。

 マフィア然とした外見的情報と、黒いサングラス越しから部屋を隅々まで歩く青年に魅入られ。

 そして...かみ砕かれた感がある。

 商会長は左手で首筋を撫でてた。

「まだ、です。まだ...何もしていない」

 含むような言い方だ。


 背筋に嫌な滴が流れた。

《俺が、緊張だ...と?!》

「彼がここに来たことで、閉鎖された街では悪目立ちします...ね?」

 噂が立つ。

 いい噂も、悪い噂も...管理、統制は出来るかもしれないけど。

 誰かの憶測を打ち消すようなものは、いくつかの真実みが必要になる。

 それは...

「対処したいと...言いたいところですが、龍海ロンハイ殿には暫く逗留をお願いしたい。業態の違う商会同士、あなたの慌てた素振りから詮索された噂が流れているのでしょう。幸いにも、我が商会には新式のサウナと娯楽があります。長い逗留の果てに()()()()()の土産ありとくれば、少しトーンダウンもあり得るのでしょう」

 ただ、品性を求められる両替商のイメージは底値になるだろうが。

「こうなると、太守を手名付けられなかった...ツケが」

 結社“金脈”の財力と武力に屈しなかった男がある。

 聖都の太守“イートン・ウイグスリー”だ。

 妻子は実家に置いて単身で、勤めに励む政治家だった。



 三男はの落胆は、あたしの平たい胸をもやっとさせてた。

 いや、分かる。

 失恋は何度経験しても嫌なものだ。

 この苦しみ、痛みが人間関係なのだろう。

「君の決断は早計かもしれない、ぞ!!」

 めげてなかった。

 むしろ...ミロムさんを脅すのか?!!

「それはみっともありません、坊ちゃま」

 うん、メイドとして接してる。

 ロールに忠実なミロムさんのロープレ、凄いプロ意識を感じる。

女性ひとの誰もがすべて、玉の輿に乗りたいのかという壮大なテーマのように聞こえるでしょうけども、至極単純な話です。坊ちゃまを“好き”か“好かれ合いたい”かの違いなのです。後者は()()()が含まれます。長くお付き合いし、子が生まれ、育み老いていきますから...やはり、坊ちゃまとの関係性が非常に重要のです」

 ぐはっ

 ミロムさんが怒ってる。

 静かに怒ってる。


 三男さん、何、地雷踏んでやがんだ!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ