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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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聖都の攻防 6

 会合を終えた“龍海ロンハイ”の会長は、帰宅途中に報せを受ける。

 小店こだなの一つが消えた()()をだ。

 彼が真っ先に想像したのは“金脈”からの催促という一文字である。

 力による支配。

 いくつかあるけども、秘密結社たちは時々、過剰なまでの“武力”を用いる時がある。


 これらは()()だという。

 彼ら自身もそうだと思ってたいふしがある。

「商会の店長を呼び出せ! 大至急だ!!!!」

 会長の動揺は、馭者には伝わらない。

 ああ、会長さん取り乱してんなあくらいの感想を胸に抱く。

 これがルームミラーよろしく、客車の中にある会長の血相と相まってならば、その必死さが伝わったのだろう。

 馭者には幸いだった。

「はいで~」

 なんて間抜けめいた声音で返されてた。



 警備隊から仕入れた話――。

「一家惨殺の現場から、砕かれた()()()が散らばってたとか。何か思い当たることはあるのかな?」

 ミロムさんが、茶菓子を用意しながらあたしらに問うてきた。

 勿論、彼女の目当てはその茶会の中心人物である、ウイグスリー卿ひとりだ。

 間違ってもあたしじゃあ、ないし。

「当たり前です。間違うも何も、先輩に振って何が聞けるというんです!?」

 後輩から胸を刺す言葉を受ける。

「そんな平な胸に刺す刃などありません。揉み甲斐もない」

 おう、再び。

 強烈過ぎる。

 な、なに怒って...

「怒ってません!」


「まあ、痴話喧嘩は犬も食わぬぞ?」

 ウイグスリー卿が心配して声を掛けてきた。

 件の卿も、会話に入れなさそうだ。

「先輩は、こうやって弄ると嬉しそうに尻尾を振る変態なので、お気になさらずに...卿、どうぞミロムさんに解答をお願いします」

 いやあ、散々な言われようだ。

 あたし、可哀そうじゃないの?

 ミロムさんの方へ視線を向けても『あとで』というお預けを食らった。

「セルコットには女難の相でも出てるのかな?」

 ヒルダさんからは同情された。

 師匠は未だカジノから帰ってきてない。

 あの人、本当に大丈夫かな。

「ミロム嬢には先ず、この情報をどう仕入れたかを窺いたい」

 まあ当然だろう。

 違法すれすれとなると、問題は別の方向へ波及しかねない。

「巡回に来られた警備兵がたにお茶をだしながら、それとなく問うてみましたところ。彼らも最初は渋っておられましたが、事件性が無いとの事で――現場の状況――だけを聞くに至った次第です」

 大店おおだなのメイドに話せるギリギリの話題。

 存外、口の軽い連中だと思うけど。

 仮に上司に咎められたとしても、()()()()ならばと見逃すかもしれない。

「ふむ、見事な誘導尋問であるな」

 と一呼吸。

「その犯行は、レッドキャッパーであろう」

 ああ、ウイグスリー卿が協力者と呼ぶ連中のことだ。

 あたしたちが下水道から侵入を試みた聖都に、彼らはすでにあるという事が分かった瞬間。

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