表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
148/507

聖都の攻防 4

 結社の狙いは、世界に新たなる秩序を生み出す事。

 彼らの上位組織は言った『世界に秩序と奇跡』を与えると――ただのテロではなく、新世界を約束するものだという。

 まあ、掌握するための詭弁だろう。

 マディア自身もそれほど心酔している訳ではない。

 団主からも、自身が統括する結社の他にいくつかの結社があると、仄めかしてたことがある。

「大事なのは我らの目的は、新たなる秩序を作り出すことにある!」

 団主の尊き御言葉ではあるけども。

 マディアからすると、誰かの言葉の()()()()な気がしてならない。



 両替商のひとつに聖都の警備兵が入ってた。

 店の入り口には規制線が張られ、物々しい雰囲気の中で...。

 白い布を被せられた()()が運び出されてた。

 やじ馬たちからの話に耳を立てて聞くと、

『店主家族と、使用人までも惨殺されたらしいのよ』――所々不確かな言葉も見受けられたけど、概ねこんな雰囲気のセリフとしてつながったところ。

 紅の修道女こと後輩が小首をかしげてた。

 彼女の情報収集は、町の噂集めである。

 身分不確かな者が警備兵に尋ねたところで門前払い。

 或いは不審者認定されるのがオチだ。


 ならば、奥様方の井戸端会議ほど有意義なものは無く。

 また、聞き易いわけだ。

 こちらも面白そうな噂で応酬すれば、より深い噂元にたどり着けるだろう。

「なんだ、そういう事?」

 後輩の手法にケチをつけた訳じゃない。

 ただ、わりと単純なんだなあと。

「その反応が嫌味として捉えました。これは何ハラで訴えるべきでしょうか?」

 うわああああ。

 そ、そんなマジに受け取らなくても。

「ただ、こんな閉鎖された都市のなかで殺人は......珍しいのでは?」

 会合終わりに合流したヒルダさん。

 師匠は、ウイグスリーさんに用立てて貰った“軍資金”でカジノへと直行している。

 マジ、働かねえなあの人は。

「会合に出られるのは()()である、ごく限られた者だけだ。例えば、係累である小店こだなたちや、商会に共同出資している系列、または別の組合を率いている場合には、その代表者が会合に顔を出せるという仕組みで...聖都には大小の両替商がある。まあ、聖国の首都だけあって街は広いからのう」

 ウイグスリー卿は、そうつぶやいた。

 と、なるともぐりではなくどこかの系列店というわけか。

「噂話では、店主は“青海チンハイ”と」

 ウイグスリー卿は唸り、

「紅どのは覚えてるかの? ギャングめいた紳士のヤツを」

 後輩はコクリと頷く。

「あれの“龍海ロンハイ”の長老が支配しておる店じゃな」

 噂が正しければの話だ。

 警備兵が運び出した遺体は、数十人分で。

 殺された人々は、一族郎党――つまり、一家の主人だけでなく妻、傍女、幼い子供たちなどが含まれてたという話だ。

 検死がされたようだけども。

 科学的とは言えないだろう。

 なんとなく不審死を疑った、くらいのことだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ