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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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聖都の攻防 2

 両替商の組合が、聖都にもある。

 ウトウィック・ウイグスリーは、姪ふたりを随伴して会合に出た。

 ヒルダにして、行動から不安を露わにして。

 ミロムは家事が手に就かない、どこか上の空だった。


 姪のひとりが後輩であるから、ふたりの心配は半分で済んでいるようで。

 あたしだけだったら...

「ワシも心不全であの世見るかも」

 なんて、ウイグスリー翁を苦笑させた。

 えっと、

 あたしってそんなに可哀そうな子なの?



 両替商というと...

 んー、両替するほど金がなかったんで。

「孫同伴とは、もうろくでもしたか?」

 嫌味が飛んできた。

 翁は表情を変えることなく、

「姪っ子たちだ。まあ、そうだな社会科見学でも...違うな。この世界を見せて、将来の後継者育成とでもいえば、皆も理解してくれるだろうか」

 よく舌が回るなあって感心する。

 これは交渉。

「そういう事にしておいてやる、が。この集まりは?」


「俺のとこの情報()に、奇妙な話が舞い込んできた」

 翁の一言で、場の空気が変わった。

 というか、ぴりついた焦がれるような雰囲気にだ。

 殺気にも似て、とても...


 居心地がいい。


 後輩も能面だけど耳がかすかに動いてて。

 あたしは――漏らしてた。

《ああああああああああああああああああああああああああ...》

「後継者って話だったが、そっちの()()()()の肝が座ってるようだから、考えておいた方がいいんじゃないか?」

 あたしが部屋を飛び出した後のやり取りなので、詳しくは知らない。

 でも、漏らす子は「ないよなあ」ってことで一致したらしい。

「で、情報網ってことは」


「うん、白金貨に贋金を混ぜるという事なんだが」

 会合の衆目が唸り、そして笑った。

 いやいやって、声も上がる。

「金貨に細工する? コスト面からして旨味が薄い」

 金貨はすでに銀で水増しされている。

 だから白っぽく見えている訳で。

 金貨の色が変わるとなれば、その時点で硬貨としての信用度は下がる。

「市民レベルで手にする者は、ごく限られているのも金貨としての価値を高めている。まあ、仮に市民でも気軽に手にするほどで回ったら...贋金を使った者たちは大損じゃないのか?」

 端々から同様の声が上がるんだけど、翁と話を交わしているのはせいぜい、3,4人ほど。

 巻紙煙草を燻らせるギャングっぽい紳士とか。

 縦髪ドリルの熟女。

 童顔、巨乳のJKみたいな女商人くらいか。


 翁へ後輩が耳打ち、

「あの人たちは味方なの?」


「商売敵だが、ここ4、5年は()()()だよ」

 つまりは。

 あたしたちのように、ぽっと出ではないという意味。

 逆にその主要メンバーから翁が疑われたら...

「それもない。レッドキャッパーと渡りがつけられるのは、ワシだけだからな」

 その情報網が信用しているのも、共通の敵と戦ったことのある翁だけという。

 さて、その組織はなんだろう?

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