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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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聖都の攻防 1

 商業区の下水道では大騒ぎになってる頃だろう。

 海兵隊らが仕掛けたトラップにはまった、捜索隊の一部の悲鳴が木霊する。

 当然、侵入者があったという疑いが、事実に代わるわけだけども。

 トラップを仕掛けたことで。

「ここかー!!」

 って、マンホール蓋をこじ開けた先でひと騒動となり......

 跳ね橋街の警備兵は、大衆浴場の女湯へ突入し、逆にたたき出されるという珍事となった。



 そんな話を後日談のように聞かされた。

「誘導するにしても、酷くない?」

 沐浴中のあたしら。

 こんなあられもない姿を、突如飛び込んできた男たちに見られたのだ。

「あられもないって、みんなタオル巻いて“ブリトー”よろしくサウナで寛いでただけだよ。流石に女湯だからって、こんな浴槽があるのは一軒家か、高級宿屋くらいなものだよ?」

 と、ミロムさんに諭された。

 こういうやり取りは久しくなかったなあ。

「ほら、目をつむって」

 頭を洗うから、と。

 あたしの髪、一本一本を懇切丁寧に洗い出す。

 後輩は、浴槽の中からこっちを見ているようで――力強い視線をTKBに感じますとも。

「先輩って本当にミロム先輩を信用してるんですね!!?」

 ええ、もちろん。

 今、声に出すとシャンプーが口の中に入り込みそうである。

「相思相愛ってのも、気分がいいですね!」

 お、ミロムさんもですか。

 嬉しいなあ。

「でも、ストレートなんですよね?」


「その、ストレートが良くわからないんだよね。マツタケは見れるし、たぶん抵抗はないと思うけど。行為は“ない”と思ってる自分がちゃんと......ここにあるんだよね」

 不思議だけど。

 不思議じゃないのかもしれない。

「難しいことは、ね」

 母性愛を感じます。

 ミロムさんの大きな胸に抱かれて。

 ふふ、悔しかろう~

 後輩の視線が弱くなる。


 つむってた目をあけると、彼女は湯船から脱衣所へ消えていた。

 むむ、嫉妬か?

「こんな平和な時間はそう長くないかも、ね」

 うん、まあ。

 確かに。



 ピカピカに磨き上げられた、後輩。

 フリルのドレスがよく似合う。

 その炎のような赤い髪も......ん? こいつ髪、赤かったっけ。

「叔父様。白金貨ってどんな方が使われるのですか?」

 いっとうまともな問いだ。

 あたしには思いつかない。

「まあ、そうだねえ。白金貨は聖国の価値で言うと、銀貨100枚から150枚相当だ。今、教皇選出期間中にため政府は、国内経済に対して性急な対策が講じられないから、物価は少し上がり気味になるだろうね。と、すれば銀貨と金貨の差は大きく広がるはずだ。また、同時に多く出回る銅貨だって回収傾向になる」

 考えるミロムよりも、後輩が唸る。

 師匠とヒルダも似た回答を得たようだけど――。

「流通させる目的じゃないな、これ」


「ええ。国に回収させるんですね、ほぼ純金である金貨が国庫に入る。これが市場に出回ると、今まで調整してきた金相場はガッタガタになります」

 金鉱山からは、金よりも銀や石英が多く取れる。

 形容できない独特な金色は、人々を惹きつけて止まない()()がある。

 鉱山の近くにはほぼ川が流れているから、砂金も集めてインゴットを作るのは苦労があるけど、出来ないわけじゃない。

 でも、金貨の為にはいささか、割の合わないコストを支払うことになる。

「ガッタガタにして何の意味が?!」



 

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