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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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ただ今の中継は、下水道からお送りしております 1

 一蓮托生。

 いい響きだ。

「誰も、あたまアフロになりませんよ」

 な、なんで?!

「先輩は見境なくのバカですが、当方たちもそこんとこは対策済みなのです。だって、下水道に入るのです! 保護領域魔法プロテクト・ロケーションで己の身は己で守る。これ、常識なのです。先輩の二次被害になんか、いくらでも対抗してみせる、当方らには自信があるのです!!」

 だって。

 いや、後輩の優等生っぷりはアカデミー以来。

 ひざ下まで浸かる汚水のたまり場でも、抜かりはないってことか。

「ええ、ひざ下にまで浸かってるのは、先輩だけですが」

 よく見ると、

 あたしと、みんなの目線が違いますなあ。

 頭二つ、うえ?

「格子向こうにあった排水口から入る時、リフト・ローゼン氏はこう言いました“下水道には、点検用の足場があるものだ”と。で、当方たちは今、その足場にて立っているのですが...先輩の見境ないアホさ加減により、よりにもよって汚水に身を捧げているのです!!」

 ミロムさんの残念そうな表情が痛い。

 こう胸に...大して盛ってない胸にチクチクと、突き刺さる視線。

 ああ~あたしを一人にしないで~

「セルコットを弄るのはその辺にして、紅の...お前の()()魔法で」


「当方は魔法使いであって...」

 やや不服そうに、

 ちょっと舌打ちをしたような感じもあったけど。

「わかりました。神聖ではなく、聖堂魔法ですが“竜を御する乙女神”の加護が、下水道ここまで届くといいのですが。一応は一晩のお相手もした、優しい後輩であるのだと記憶に刻んでいただきましょう!!」


「一言、多いわ!!」

 ヒルダさんが叫んだけど。

 これ振動で?

「だから、保護領域魔法で大抵のことは許容できていると、教えましたよね?」

 うーん。

 ごめんなさい...



 あたしたちの侵入はほどなくして、バレることになる。

 侵入経路からではなく、秘密結社の構成員からだ。

 跳ね橋の街の警備隊に連行されたひとりが、警備隊長に吐露する。

 彼も構成員だった。


 “くち”だった最後の一人も、結局は獄中で死ぬんだけど。

 師匠が想定した時間よりも早く、露見した感じだろうか。

 公認交易商人の隊商が、聖都の中へ向かう日――「“オークニィー”会長に言伝を、コンバートルで邪魔をした者たちが聖都に現れた。恐らくは、すでに侵入したものとみていい...とな」

 馭者も兼ねる商人は、能面だ。

 表情を変えることなく頷き、息を吐く。

「それは情報ではなく定時報告というのですよ。秘密結社わたしたちには“目”と“耳”がある。傭兵ビジネスは始まったばかり、パワーバランスを牛耳っていたコンバートルが瓦解した今、戦争をコントロールするのは、カネと傭兵、この二つなのです」

 馭者の持つ鞭で、ブレストプレートを小突かれるた隊長は、半ば放心した様子で後ずさる。

 馬車がゴトゴト動き出す。

「じゃ、お、俺は?!」


「有意義な情報というのは、侵入者の正確な居場所です!!」

 そんな事ができるのであれば、警備隊長で終わらないだろう。

 町一つの治安を守り、維持するのだとしても出世は出世だ。

 が、男の夢としては少し小さいだろうか。

 もしも叶うのであれば、一国一城とか?


 隊長は首を大きく振った。

「ちくしょー、たかが商人にコにされたままで終われるか!!」

 そう、男しても追われない。

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