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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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跳ね橋を超えて、3

「聖都の用地は、背に川幅の広い河川を背負った状態で、堀を構える。城塞都市のいくつかあるパターンの一つです」

 って、淡々と話し始める。

 まるで見てきたかのように...

「見てきましたよ? 自分の足で周囲の状況を確認する、当たり前のことじゃないですか!!」

 と、後輩が真顔であたしの心をえぐっていく。

 最近、相手をしないからもしや...

「嫉妬? 自惚れるのも大概に、当方は()()てませんので」

 万年発情期のような獣でも見ているような目。

 その目は、止めて~



 城壁の高さはこの風土としては“普通”だ。

 攻城砲が無いから、堀を構えるだけで十分な防御機能を有することになる。

 しかも跳ね橋の方は城塞都市側。

 つまりは聖都の方にあって、アホみたいに太い鎖を巻き上げて城門側に張り付いてた。

 橋の長さは恐らくのところ、100メートルは超えるだろうし。

 籠城の際は、その橋を敵軍の目の前で落すように出来ているという。

「その情報は?」


「この町の()()()()()から聞き込みしました」

 神父たちのDTを逆手に?!

「そんなはしたない真似はしません。後輩を何だと思ってるんですか!!」

 怒られた。

 いや、うーん...今のは失言だったと、反省しよう。

「蜂蜜酒を奢れば簡単に話してくれます」

 おっと、口の軽い教徒発見ですね!

 そんなんでいいのか、ラグナルの正教は。

「それは俺から補足する。ここいらの跳ね橋が降りる街ってのは、これ()()が軍事拠点になっている。目に見えている兵士は極わずかで、6交代制の24時間寝ずの索敵ってのをやっているってのが常時だからかなあ、昔からこの街に棲む聖職者ってのは、わきが甘かったもんよ。まあ、懐が温かいのは勿論のこと、摺られたのも分からんほど酔いつぶれる習性は、今も変わらんって事か」

 な、なに? その情報。

 まさか、師匠...

「こっちの懐が寒くなったら、いい小遣い稼ぎを...」

 そんなことしてるから、例の准男爵に御厄介になったのでは?

 とか...あたしは思っただけなんだけど。

 師匠の勘の鋭さと来たら、

「おい、バカ弟子!!」


「いえ、何も考えてません」

 そのひと睨みが怖い。



 あたしたちは、堀の方へ降りてた。

 跳ね橋を見張る警備兵には、死角になる位置に小舟がある。

「これは?」

 あたしの問いはあっさりスルーされた。

 ミロムさんは微笑みを浮かべてるんだけど。

「堀の幅は約100メートル。水深は丁度5メートルくらいだと言質を取りました」

 ふむふむ...さっぱりだ。

「堀までは警備兵がいないと?」


「これだけ立派な防衛拠点があるから油断してるんでしょう。しかも、まだ、誰にも侵入されたことのない...正に難攻不落の城塞都市だそうです!!」

 後輩は、この堀付近まで降りてみたという。

 重い甲冑を纏った兵士などが渡河するには向かないし。

 また、地上の警備兵に見つからずに、城壁を越えようとするのも物理的に難しい。

 と、説明し終えたところで。

「抜け道があります...お勧めできるというわけでは...ないんですが」

 水路まで降りといて、今更感はある。

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