表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
136/506

跳ね橋を超えて、2

 陶片選挙の最中は、人の出入りが極めて限られる。

 長引けば、市民の生活レベルにも翳りが出るんだけど。

 7日に一度だけ、跳ね橋が下げられて公認交易商の荷馬車が通される――中身は生活必需品などが大半で、神殿に籠っている枢機卿たちへの娯楽も...補充されるようだ。が、この交易商に化けるとか、或いは忍び込むことは難しい。

「いくつかの場面シーンごとに戦略を練ってみた」

 皆が息をのむ。

 ここは、跳ね橋のある宿場町。

 その馬小屋の藁の上...。

 なんでまた、馬の糞臭いとこに居るのか。


 金が底を突いた。


 帝国の姫だっていう()()をもってしても、だ。

 聖都に入らんことには、両替商にて“金粒幣まめきん”を白金貨や銀貨へ交換してもらえない。

 交易商の下へ行っても...たぶん、足元を見られるだろう。

「だが、悉く...禿げる」

 ハゲ、る?!

 師匠のてっぺんが!!!?

 殴られた。



 理由は単純だ。

 うっうう...あたしの頭頂部に瘤が出来てる。

 師匠曰く、普通の方法では無理だとのこと。

 この()()には、常人の考える荒事も含まれる。


 師匠の常識ってひとつレベルが違うんだよなあ、毎度。

「なんか言ったか?」


「いえ、...別に」

 藁の上をすべるようにミロムさんの傍へ寄る。

 悪戯されるなら、ちょい変態だけど、ややまもとな変態のミロムさんがいい。

「公認交易商を買収するにしても、今の我々の資金力では、足元を見られ破綻する。いや、潤沢な資金があっても結果は同じでは無いかと、俺は推測した!!」

 ああ、そんな当たり前のことを。

「お兄さまが懸念されている頃合いというのは、今なのですよね?」

 そう。

 贋金騒動を引き起こすなら、

 国内政治が聖都内でも機能していない“()”が絶好のチャンスと言える。

 純金ではない事は、両替商と造幣商だけとなる。

 国から厳しい沙汰を貰って営業してるけど、一部国営事業みたいなトコはあった。


 あ、この知識は師匠から。

 師匠いわく、出来立てホヤホヤの銀貨を数枚ちょろまかして、親父さんに殴られたんだとか。

 う、うん? これ要らない情報じゃん...

「俺が楽してカネをちょろまかすなら、()だな!」

 っサイテー

 師匠の拳が振り上げられる。

 それを見て、あたしの身体は喜びに打ち震え...え?

 いやいや、そこは恐怖で震えて...ん?

 TKBが立ってる?

「ほ~ら~、ここくすぐったいよね~♪」

 ...っ

 ミロムさんか。

 あたしの感覚が変になったのかと思ったじゃんよ。

「こほん、話をしばらく聞いてましたが...要は、聖都に入れれば宜しいのですよね?」

 と、後輩が割って入ってきた。

 黙って聞いてたら埒が明かないと思ったようだ。

「聖職者の姿の方が、似合ってたんだがな?」

 師匠は一言多い。

「当方も、修道服が気に入ってましたが、本職としてこちらの軽装鎧の方も存外、嫌いではないんですの。返り血を浴び過ぎて“紅い修道女”の二つ名を連想させてしまうのが、厄介なんですけど」

 そう、後輩は近接格闘が得意な魔法使い。

 あーえっと、魔法の殆どが格闘術に寄ってて、敵に回すとこの上なく厄介なんだ。

「では、案を聞こうか?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ