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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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そうだ! 聖国へ行こう 6

 草の根ごと引っこ抜いて、両手で握り。

 顔の横まで引き寄せ、ひたすらにカニよろしく横歩きをしている客を見つける。

 あたしは、観光客に背中だけ見せてた。

 ま、魅せれるほどの美しいものではない。

 いや、はっきり言えば、だ。


 こんな戦士っぽい身体を誰が見るのだろうって。

 いや、見たい人はいたんだ。


 ()()エルフと一緒に、キャッキャウフフな雰囲気の“あたし”を愛でたい人が。

 ミロム・バーナード嬢。再結成を目論む“鬼火”のリーダーだ。



 もう少しだけ、ひと巻き程度に話を戻すと。

 森に棲む天然エルフを見ることが出来るツアーを知ったミロムさんは、だ。

 あたしに参加するよう促してきた。


 あ、いや。

 参加するのは、エルフ側の方でだ。

 彼女の愛するセルコットの肌を、他の誰かが見ることへの抵抗は薄い。

 もっと言うと、希薄ってくらいに無色透明だ。

 そう、彼女はNTRものに弱かったというか、それが性癖だ。


 こじれてる。

 ねじれてる。


 あたしの身体は傷だらけだ。

 ラストエリ〇サー症候群みたいな病的なもんで、

 ヒールとかポーションは最後まで取っておくタイプ。

 だってさ、かすり傷に勿体ないじゃん。

 ポーション...1本幾らすると思ってんの?!

 って、逆に聞きたくなるわ。




 そんな、あたしの背は刀や、斧、或いはこん棒めいたもので抉れてる傷跡もある。

 色の抜けた褐色系で、ダークエルフのような雰囲気が少しだけ残ってた。

 たぶん、肌の色でだ。


 普通のエルフも最近は、世俗の中で暮らすのがいるから。

 もうダークエルフだけが背徳者とか、ねえ。

 何百年前の話をしてるんだ、ってこと。

 血統主義でもなければ、エルフなんてみんな町に家を持ってたりするもんですけどねえ。



 あ、ほら! 妙な動きをしてる客がいる。

 他人に恋人が見られてるのを見るので、興奮する。

 変態さんが寄ってきた。

「くぅ~ ミロムさんじゃんか!!」


「知り合いなの? っ、マナーの悪い人」

 うなづいてた。

 ここで声を挙げるのはご法度。

 村にとっては、()()()()()であってほしい。

 これは“仕事”だと割り切りたいエルフたちも、現実には戻りたくはない。

「聖国に行くために寄っただけなのに」

 と、零したあたしへ...

「聖国へ? ここに...」

 ちょっと歯切れが悪い。

 事情を聴いて驚いたんだけど、この村、中継地点としては利便性が悪いんだそうな。

 エルフを見に来る人たちの()に作られた、テーマパークのような施設で。

 道すがらに寄るような地でもないらしい。


 じゃ、秘密結社の3人は――当然、観光目的だ――息抜きである。


 あたしたちは、ミロムさんの我がままに付き合わされた。

 天然エルフと戯れるセルコット・シェシーを見たいがために。

「あなたの知り合いさん、妙なとこでクネクネしてるけど」


「......み、見ないであげてください」

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