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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
129/507

そうだ! 聖国へ行こう 5

 森の泉はこちらって...

 看板が立つ珍しい村――もとい、天然エルフが月夜にはわらわらと、だ。

 森の奥から()()()()きて...。

 茂みにて、ひっそり声を潜めた観光客が、だ。

 エルフの沐浴を覗くのだという。

 ああ、新しい観光財源。


 いや、ちょっとまてー!!!

「ちょ、静かに」

 エルフ仲間に泉へ浸かるよう促された。

 あ、今、あたしも見られるパンダ側に立ってる。


 どーしてこうなった?!



 少し話を戻そう。

 数刻前のこと。

 森の中を彷徨ってたら、たまたま仕事帰りのエルフたちと鉢合わせになった。

 聞けば、野兎の狩を終えた後だという。

 ふむ...健全ですね。

「横長耳族とは珍しい!」

 って、流暢すぎる()()()を話せるエルフだった。

 共通語というのは、超大陸のリーズ王国とドーセット帝国間でつかってる言葉のこと。

 もっとも、あの国が中心とも限らないと思うけど。

「結構、古い呼び名で言われるとは思いませんでした、えっと...高耳族の方でいいですか?」

 横長耳族ってのは、あたしの一族。

 まあ、あたしはハーフだけど...耳は、横にやや垂れた感じで、ね。

 わりと長い。

 形のいい横にピンと張ったエルフが、村で一番の美青年、美女と持て囃された。

 あたしは垂れているので、ペット程度。


 泣いていい?


「いやあ、その高耳族ってのも最近、聞きませんね。あ、でも...はい、当たりです」

 獲物のウサギに矢の痕跡がない。

 うむ、魔法で仕留めてるんだろうか。


 彼らが村につくと。

 顔立ちのいい青年の方々が広場に集められてた。

 おや? お祭り...

「あ、いや...こ、これから...も、沐浴に行くんですよ」

 沐浴。

 水浴びというか風呂、あ、いや銭湯にでも行くような感じの気の軽いもんだけど。

 そんなに入念に...えっと、美男美女を集める必要が?

「ほ、ほら、儀式のようなもので」


「だったら、狩に行ったお兄さん方の方が、汗を流すために必要なのでは?」

 めっちゃ、首を振られて拒否られた。

 うーん、大陸が違うとエルフの習慣も変わるという事か。

 ま、森の奥でひっそりと隠れているところは、変わらずというか...そういうイメージというのは怖いものだなあと、ね。

「ああ、そうだ!!」

 村長を呼びに行く狩人さん。

 美男美女を吟味してた老人が、あたしのところにも...

 まるで値踏みでもするように...

「この子ノラですけど、この横長の垂れた感じとか。可愛いですよね!!」

 ああ、可愛いだなんて。

 つい、もじもじする。

「うむ、こうこの腰のラインは合格点じゃな! 乳房は足りないが、下乳から下腹までのラインは艶がある。高耳族うち()らは下腹がポッコリしていてマニア受けはしても、一般受けではないからのう。飛び入りじゃが、ワシは認めるぞ...お前の眼力を!!!!」

 だって。

 え、何?!!



 それで、こうなった。

 観光客に魅せるためのエルフ資源。

 エルフが珍しいことはない。

 けど...


 そう。

 原始的な暮らしをしている“森の賢人”としてのエルフは希少性がある。

 確かに、エルフは決して人口が多い方ではない。

 長寿で不老、このワードの強さが枷にも呪いにもなってる。

 子供が埋める適齢期も100歳以上経ってからだし。




 と、いうわけで!

 今、ここの泉で沐浴している...

 いや、観光財源だと割り切って魅せているエルフたちは未成年である。

 ここに来てくれるな、ミロムさん。

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