表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
119/511

新王と市民軍 王都灰燼 24

 村の中に物音ひとつ立てずに潜入することは出来た。

 例えば、あたしが一人でとか。

 或いは、少数精鋭で襲撃人数を絞ってれば。


 でも。

 あたしの号令のもとに動いたのは...

 神殿騎士と、聖堂騎士団、ドーセット帝国海兵隊にセルコットさんと凸凹ご一行。

 訳も分からずついてきた司教さん。

 いや、大所帯過ぎる。

 いやいや...

 ここまで乗り込んだら、絶対にバレるって。

 リストのふたりは逃がしちゃダメなんだってば!!



 舌打ちしながら、扉の前に男が立つ。

「心地よい殺気をありがとうなあ」

 って、ズボンがひざ下まで下がってますが?!

 部屋の奥から漏れた光で、そ...その..さ、竿が、モロ見えで。

「いけない!!」

 司教さまは咄嗟に、後輩の修道女の目を手で覆った。

 お! 流石、聖職者。

「ちょ、司教さま!! み、みえません」

 おまえは自重しろ。

 あたしの目の前も何かで覆われた。

 あ、これ布?

「セルコットに変なもん見せるな!!!!」

 怒ったミロムさんが飛び出してる。


「はい、バカはっけ~ん」

 ズボンを履く男と、

 ぞろりと獲物を担いで顕れるゴロツキたち。

 えっと、ピンチです。



 多分、本気出せば戦える...気がする。

 サイコロを振ってみた。

 「壱」の目が揃って出ることはないけど、数字も大きくはない。

 これは...

《なんで出ちゃったのよ!!》

 ヒルダから指でわき腹が突かれた。

 くの字に仰け反るミロムさん。

《えっと、脊髄反射...?》


《もっと、悪いじゃんよ》

 やっぱりセオリー通り、外周に散ってた敵兵をひとりづつ。

 と、反省するのは生きてた時に...

「こそこそしないで、オジさんも混ぜてほしいねえ~べっぴんさんたち?」

 卑しい笑い声が響く。

 ざっと見渡すと数は...

 数は?


 あれ?

「百人は、じゃいたんじゃ?」

 あたしに掛けられた布は、ミロムさんの上着。

 彼女は、ノースリーブのシャツにブレストプレートを身に着けてた。

 その上着からこっそり顔を出す形で、

「え、あ...あうん。確かに100人いた筈なんだけど」

 怖くしてたあたしらに、だ。


「お答えしよう!」

 なんて、陽気なスタイルの賊が()()()

 あたしたちからは、死角だったんで。

 全く気が付かなかったんだけど。

「師匠/お兄さま!!!」

 って、ヒルダとあたしの声が重なった気がする。

 賊という割にはまるで貧乏っぽく、精悍な雰囲気があるのにどこかだらしない。

 魔法の師がババアであるなら...

 近接格闘術の師は、この貧乏人みたいな人物だ。

「お兄さま、なぜ、ここへ?!」

 妹のヒルダには一瞥を残し、

 まあ、真っ直ぐミロムの背に隠れる、あたしの方へ歩いてきた。

「さて不詳の弟子は、教えたことのひとつも成していないようだが?」

 ぐうの音も出ない。


 ドーセット帝国元第三皇位継承権だった男――上、3人の男子と比較されることを拒んだ彼は、皇籍からの永久追放された。罪らしい罪は犯していない...ただ、皇帝の期待に応える気が無いと言い放ったのが、罪といえのだとすれば...そうかもしれない。

 元の名はリスカート皇子。

 平民となった彼は、リフト・ローゼンと名乗っている。

 帝国式に属さない第八の軍用格闘術といったところか。

「師匠、これには...」

 深い事情がありまして~ とか聞いてくれる雰囲気ではない。

 師匠に迫る暴漢は、そよ風のようなもの。

 裏拳で鼻の根を陥没させると、つま先をかかとで踏みつぶし。

 男の戦意を挫いて見せた。

 相変わらずえげつない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ