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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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新王と市民軍 王都灰燼 20

 王都が火に包まれて、

 領事館のある商業区も危うくなった。

 ――で、海兵隊と教会の聖堂騎士団とともに、都市内に走る川向こうの教育学区へと移る。

 ここいらで知ってる施設と言えば、魔法詠唱者協会の学院と、教会だ。

 司教さまらを助け出した筈なのに、戻ってきてしまった。

「火の手が領事館に迫るのであれば、致し方のないことです。それに、ここを出る前は聖騎士殿と、聖堂騎士の幾人かのみ。騎士団などと称してはいますが...兵力としての数は100人にも満たず」

 と、謙遜するのは司教さま。

 いやいや、

 女神正教会の神殿騎士または、聖騎士の武威は一騎当千。

 その下部組織である聖堂騎士も、一人当たり100人分に相当する性能だと語られる。

 あっちの大陸じゃあ、有名な話だ。

 その騎士団が100人もいるんだというのならば、それは万単位の兵力だってことで。

「滅相もない。戦争なんてものは結局、数ですよ。地力で勝るといっても単に個人戦闘力。不測の事態に陥れば、その数の少なさで司教わたしか、修道女くれいくん或いは、セルコットさんやミロムさんが倒れることもあるでしょうから」


「ちょ、私は?!」

 と、やや憤慨気味のヒルダさんがある。

 やー、あんたは矢が飛んできても刺さらないでしょ、その筋肉と鎧の前には。

「ちょっと、私も女の子だっての!!!」

 地団駄踏んでる。

 なんとなくは分かるけど。

 なんと言おうとも、ヒルダは自分で解決できる。



 魔法詠唱者協会の学院というのに入ってみる。

 開け広げられた、正門を通りあたりを見渡すと――近隣から逃げ込んできた住民の顔を見ることが出来る。知った顔が無いのは幸いだけど、ガラの悪い連中もいて。

「おっと、軍人さんらはお断りだけども」

 って口を閉ざして数分。

「いや、もしかしたら俺らを逃がしてくれるかい?」

 なんて商談を持ち掛けてきた。

 矢面に立つのは後輩とミロム。

 あたしと、ヒルダさんには向かない話だ。

 それと、煌びやかな法衣を脱いでる司教様もだ。

「ここに流れついた人々をって話なら、やぶ坂じゃないから協力はするけど?」

 周りを眺めると、人々の目は死んでるように見える。

「そうだなあ、安全に国境を越えたいんだが」

 ミロムに革袋を放ってよこしてきた。

 明らかに金属が擦れる音がした。

 ただしあまり重さを感じない。

「少し...少ないんじゃないか?」


「いや、ちっともだ」


「ここの人々の分...」

 矢を構えるゴロツキが現れる。

 影という影からだ。

 ざっと50人前後、いや、もっと少ないけど。

 市民が抵抗して退けられるような、戦力でもない――統率された、兵士崩れといった感じだろうか。

「そういうこと?」


「俺たち30人を国境まで護衛してくれたら、残りの分を払う」

 後輩の方は、ほとほと据えかねてる感じ。

 ミロムは無言だけど。

「このお金ですが...」


「修道女の嬢ちゃんよ、それを聞いたらあんたはどっちの()を優先す要るんだ?! 司教か、或いはそこの市民まけいぬか?!」

 頭でわかってる。

 自分は心のすべてを教会に捧げた訳ではないという事を。

 司教も、自分の命など他の大勢と比較するまではないと腹をくくる。

 だから...

「ミロム、左に退けろ!!!」

 ってあたしが叫んでた。

 腰のベルトから棒ナイフを3本投げて、

 縮地の間合い詰め。

 棒ナイフを弾いた、ゴロツキの頭をグーパンで殴り倒してた。

 地面はつぶれたトマトみたいに真っ赤に染まる。


 棟梁らしき者が一瞬で粉砕された光景は、ゴロツキたちの動きに影響を及ぼす。

 まあ、これだから盗賊つぶしはやめられない。

 人質を取ったから優位に立ったと思った瞬間に隙が生まれる。

「ひ、ヒルダさん!!」

 司教の周囲に壁が出来る。

 聖堂騎士の厚い壁だ。

 聖騎士たちは四方に展開して、ヒルダと海兵隊とともに動く。


 瞬く間に、悪党たちが制圧されていった。

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