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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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新王と市民軍 王都灰燼 19

 火の回りが早い。

 傭兵たちの暴走も、たぶんあるんだろう。

 いや、他に上げるとすれば、だ。


 秘密結社の連中も便乗して、火を点けているのだという事実こと

 コンバートルは、国として致命的な決断をした。

 王都で市民の虐殺を行ったのだ。


 吟遊詩人は唄う。

 彼らは、ラヂオだ。

 見てきたこと、聞いたことを歌にして市民に届ける力がある。

 これが地方に住む人々の娯楽であり、情報収集であるから――吟遊詩人の良心は“真実を伝える誇り”といったところだろうか。

 冒険者ギルドが、大陸じゅうのそこかしこにあるからと言って、()()()()()()()()が、人の足を追い越せるほど速く走ることはできない。

 これは王都で起きた事件や事故、騒動も同じ。

 必ず伝える者があって初めて、噂として広く繋げられる。

 だから、どこまでが新鮮な情報かは、実のところそこまで重要じゃないかな。



 あたしは――領事館の炊事場にて、下半身露出というやや屈辱的否、敗北感を受けてうずくまってた。だって、たぶん...あの痕跡の後探されてると思ってたし、隠れてた方が()()()見えるわけで。

 古着屋でみつけたパンツも含め、仕事着とともに収納した後だから。

 やっぱり、この敗北感を背負って――

「あーいたいた!」

 あたしを見つけたのは、ヒルダだ。

 こいつ、こんなとこで拗ねてるよーなんて大声で叫んでる。

 そうさ、拗ねてるさ。

 そういう()に演技してるんだもん。


 いざ、脱いで、床に座ったらさ。

 すっげー冷たいんだもん。

 そりゃ、下っ腹も驚いて、さ。

 でちゃうじゃんか、よ...お〇っこがぁぁぁぁぁぁぁ~

「泣くな、漏らすことは稀にあるもんさね」


「ヒルダも?」


「あ、わた..しか? あ、ん~うん。あるある」

 歯切れ悪いなあ。

 そこは慰めてくれるついでに失敗談を騙るべきだろう。

 あたしの乙女心は傷ついたぞ!!


「もう、姐さんったら、ここでまた漏らしたんですか?!」

 って、心の柔らかいところをえぐりに来るのが後輩だ。

 紅の修道女と二つ名を持ち、教会では“シスター”って優しく微笑むような()()()()()()で衣食住に困らない生活を送ってるやつ。

 こいつの仕事を手伝う事で、ようやく町に縛られた生活からは逃れたけど...

 逆に長期クエストに引っ張り込まれたような。

「みたところ...出ちゃったあと、()()なんです?」

 いや、なんでしょう?

「ヌルっとして...」

 いやいや、してた訳じゃなくてだなあ。

 たぶん、発見時にはこう、複数人に見られて恥ずかしい思いをするのだろうなあって、思考してたら~だな。なんかこう、頭の向こう側が痺れるような...ま、あれだ! あたしは意識を切り替えようとしたんだけど、身体が正直なだけと言うか、その...わ、悪くはないぞ、悪くはない、というかあ~

「ミロムぅ~ 助けてえー!!!」

 心の声が、口を突いて飛び出してた。

「ミロム、お前んとこの子が、親を探してるぞ」

 だって。

 ヒルダの笑い声が痛い。

 デリカシーがねえなあ。



 カウンターの向こう側で棚に背を預けて座り込んでた、旅芸人の男――

 “碧眼のハイエナ”って旦那から遣わされた、あたしとの連絡係。

 碧眼を棟梁とする盗賊団のスカウトだったんだけど、彼との別れ際に渡された紙片がある。

 王都に潜伏している“秘密結社アメジストの口”ってグループ化された扇動者の名が刻まれてた。

 碧眼の目的は違ったんだろうけども。

 図らずも、その痕跡を得てしまったので...

 彼は衛兵に売られた可能性がある。

「それって、怖っ」

 ミロムさんの膝上、あったか~い。

 革づくりのズボンだから、寝返り打っても腰は...腰。

 あれ?

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