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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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新王と市民軍 王都灰燼 12

 王都にあった“敵意”の根源は、秘密結社の工作によって催眠状態にある市民と、それを武力で一方的に壊滅させようとする為政者の()()だった。

 そりゃ、敵意が四方でマシマシに、増えるわけだ。

 それぞれ小競り合いは始まってたけど。

 大火というよりは、小火ぼや

 消化する気になれば、鎮火も可能な雰囲気ではある――やる気であれば、そもそも睨みあいなんて起きもしないか。



 例えば、中央市場マーケットがある商業区。

 1キロメートルにおよぶ長い通りには、道を挟んで露店が立ち並ぶ王都一活気のある界隈だ。

 これが普通のことであるならば、夜の帳が落ちても、一杯飲み屋の屋台の灯りが“ヒカリゴケ”灯の脇で照らされて賑わっていただろう。


 暴徒が闊歩する今宵は、そうもいかない。

 店を開ける店主もなく。

 閑散としていた。


 そこで、登場するのが盗賊さんたち。

 あたしに暗殺者ムシの駆除を押し付けた後、ハイエナの旦那は戸外の盗賊たちを、王都の商業地区に送り込んでた。風前の灯火たる王国で今、厄介なのが人質として囲っている、各国大使の命である。

 逃がさないと決めた時から、各国にとっては“どうなってもいい”命になった。

 いや、政治的に言えば、だ。

 王国の管理下で要人の死は、(各国がふっかける)報復戦争の大義になる。

 旦那としては国が崩壊することを望んではいない。

 だから...だから、あたしに処理を任せたんだと思うんだけど。



 狙撃手の始末を終えて、屋根に這い戻ったあたしは狙撃された。

 いや、火属性魔法を放つでなく、身体に纏わせた状態で鉛の玉弾が蒸発したとこ。


 いやあ~ すっげービビった。

 当たらないと分かってても、さ。

 ジっ

 焦げ臭い匂いと衝撃波が頭を揺らすんだわ。

 致命傷とか、脳震盪なんかにはならんけど。

 イラっと来る。


 ドライアイになるのは。

 この纏っている凄まじく高い炎の繭の中にあるから。

 ふつう、手のひらから球体をイメージするのが“ファイヤーボール”。

 視認範囲に壁のイメージが“ファイヤーウォール”。

 矢をイメージするのが“ファイヤーアロー”。

 仕掛け爆弾をイメージするのが“ファイヤーボルト”。


 すべてはイメージ。

 じゃあ、火炎イメージ自分あたしを纏わせたら何になる?

 これがドライアイになる正体。

 いや、耐性異常化を緩和させるパッシブスキルがあるから、窒息したり、焼け死んだりすることはない。

 ただ、目が乾く。

 あ、いや...瞬きしないのも悪い。

『化物が、瞬きするもんか!!!』

 偏見だけど。

 そうなんだあ~って当時のあたしは、疑わなかった。


 発砲音は2秒遅れて聞こえた。

 衝撃波は後頭部に近いから、ゆっくりと振り向く。

 2射目は眉間に――もちろん蒸発したけど、気持ちのいいもんじゃない。

 ぱっちり丸く目を開いてなきゃイケないんだけど、あたしは金色の瞳を細めてじっと光った方角へ向けてた。

 距離は7、800メートル。

 高さは屋根よりふたつ上、いやみっつ...光った感じからすると。

 教会の鐘楼?!


 3射目は身体を捻って避けて見せた。

 狙撃手にも『お前が見えてるぞ!!』って教えてやった。

 たぶん、石弓を使って暗殺しようとした者の仲間だろう。

「痛くはないが、気分の良いもんじゃないから...ぶっ殺す!!」

 って、聞こえもしないのに叫んでた。

 屋根で騒ぐと犬が鳴く。

 犬が鳴くと、大使館の警備兵がざわついて...

 屋根上でぷんすこしてるあたしが不審者に。


 おっと、これは退散、退散...。

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